2018年10月8日月曜日

隅田川御用帳(十八) 秋の蟬

隅田川御用帳(十八) 秋の蟬 完 藤原緋沙子
 ほととぎす 十四郎は橋から身投げをしようとしていた女・加奈を助けた。万引きを疑われ家に帰れないと言った。加奈は八百石の旗本の姫様だったが、浪人・島田禎治郎と一緒になり、勘当されていた。禎治郎の母親は旗本の娘と一緒になれば良い生活が出来ると考えたが、勘当され当てが外れたため、加奈に辛く当たった。禎治郎に、木綿問屋丹波屋の婿の話が持ち上がり、加奈を離縁するために小間物屋を買収し万引き事件をでっちあげた。行く所が無いという加奈を橘屋が預かり、禎治郎から離縁状を預かる。登勢は加奈の実家・斎藤家と掛け合い加奈の勘当を解いてもらい、一日親元で挨拶するが、加奈は万寿院の元で修行する道を選んだ。
 秋の蟬 登勢は十年前に橘屋に世話になり離婚が成立した紀州屋が、離婚した元妻・きよと息子・吉次郎を探して欲しいと言ってきた。十年前とは、登勢が橘屋に嫁ぐ前だった。主・徳兵衛は六年前に亡くなった。紀州屋の離婚は姑が後妻のきよを気に入らなかった。姑は去年亡くなった。先妻の息子も亡くなり、跡取りがいなくなった。また、紀州屋喜兵衛が襲われ怪我をした。跡取りを考えてきよと吉次郎を探す気になったと言う。
 橘屋はみんなできよを探した。そんな時、紀州屋に賊が入るという投げ込みがあった。二度目の投げ込みには、押し入る日が書いてあった。投げ込んだのはきよだと分かった。きよは拾った財布を自分の物にしようと思った所に岡っ引き・力蔵が現れ、七両を力蔵が取り、きよに一両を渡した。きよは財布に入れ、草むらに放置したが、それ以後力蔵は付きまとうようになった。
 隠居の世話をするようになり隠れ暮らしていたが、力蔵に見付かった。紀州屋の間取りを書くように言われ、間違っていたら息子を殺すと言われた。出鱈目を書いて渡したと言う。そして知らせていた。十四郎に話した。紀州屋に押し入った猫目の宇兵衛一味が捕まった。
嘗役の力蔵は十手を預けていた同心に捕まった。一両入った財布は持ち主に返っていたことが分かりきよの言った通だった。喜兵衛を襲ったのは、落とした根付けから、養子話があった親戚の息子だとわかった。力蔵や宇兵衛とも繋がっていた。
 きよは恩人の隠居の世話を続ける。吉次郎は喜兵衛に会った。喜兵衛は吉次郎の手形を押した紙を大切にしていた。
 登勢は離縁が成立した後の女の生活も支援しなければと思った。そのために料亭三ツ屋を作っていた。離縁した女が働いていた。
 十四郎は楽翁の側近、藩士になった。
 

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