2018年10月23日火曜日

花咲家の人々

花咲家の人々 村山早紀
 黄昏時に花束を 風早駅前商店街一番奥のお花屋さん千草苑、店の中にカフェ千草。花咲家の人々は魔法を使うと言われている。
 長女・茉莉亜。25才。カフェ千草の経営者、千草苑の中にあるFM風早のサテライトスタジオで木曜日夕方リクエスト番組のメインパーソナリティをしている。
 次女・りら子。15才。お母さんとの約束で泣かない子になった。
 長男・桂。小学五年生11才。
 父親・草太郎。風早植物園の広報部長。妻・優音を十年前に亡くす。
 祖父・木太郎。元プランツハンター、樹医。幼馴染み随筆家の磯貝唄子さんが初恋の人、親友の皓志と結婚する。五年前皓志は亡くなる。
 茉莉亜のラジオ番組のお相手・有城竹友・新人少年漫画家が、「ちょっと不思議な話し」で自分を守ってくれている白い猫の話をする。茉莉亜は草木の言葉を聞く耳を受け継いだ一族の話をする。茉莉亜は家出をした。空港で家に帰りなさいという金木犀の声を聞き家に帰ると母親のお葬式だった。
 唄子さんは皓志が幸せだったか不安だった。10月なのに桜が咲き、皓志が幸せをありがとうと言うのが見えた。唄子は木太郎に桜を咲かせてくれてありがとうと言った。
 夏の怪盗 三角屋という玩具屋の主は元怪盗だという。手に入れた物を持ち主に返している。後残り最後の絵。自分が盗品を買った物だった。薔薇のトゲの中で暮らしていた十六夜美世子イラストレーターは返ってきた自分の絵を受け取った。思いでの母の絵。十六夜先生は祖父に薔薇の剪定をお願いしてきた。
 草のたてがみ 草木と会話が出来るはずの花咲家の一員だが、桂には出来なかった。転校生の秋生は、自分は弱くて苛められっ子だったが、努力して強くなったという。流されている猫を助けるために川に入った二人は、中学生に助けられ、濡れているため近くの彼の家に行った。母親が家出をし彼は一人で住んでいた。彼が猫を預かった。三疋になった。夜、枕元のコスモスが、火事、燃えるよ、死んでしまうよと言う。桂は彼の家に走り、彼を助ける。観葉植物が見る間に成長し火を消す。消防自動車が来た時、草木は枯れて無惨な姿になっていた。秋生と三疋の猫を分け、彼は田舎の祖父の家に行った。片付けを手伝ったクラスメート三人も草木の話を受け入れた。花咲桂は生きている都市伝説だと。
 十年目のクリスマスローズ 十年前に亡くなったお母さんが造っていたロックガーデンが今年、見事に完成していた。お母さんが残したスケッチを参考に木太郎が世話、維持を続けていた。クリスマスの日、みんながそれぞれの優音に会っていた。

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