柳橋ものがたり 船宿「篠屋」の綾 森真沙子
慶応二年 1866年秋
十三夜 綾28才は口入れ屋「内田」で柳橋の船宿「篠屋」を紹介され、十三夜まで目見えで働くことになった。
追ってに追われた男・梶原を同衾を装って助けた。梶原に短銃を預けられる。取りにきた梶原は、芸者・染香に金をつぎ込み、妻子と別れ、悪事に手を染めた与力を射殺した。綾は染香を諦め自殺場所を探しに旅に出ようとした梶原の目の前に与力が現れ、染香のために与力を殺したのだろうと考えた。
ここには金銭には替え難いものがある。見届けたいことが山ほどあるように思いここで働くことにした。
こんな所にも花びらが・・・ 白河藩から、篠屋の人気料理・きのこ尽くしを食べ、食あたりしたと言ってきた。きのこ中毒だという。篠屋の女将・簾は仙石医師に白河屋敷行きを頼んだ。綾は仙石医師の息子と白河屋敷に行く。綾はきのこ中毒と診断書を書かれる前に仙石医師・玄斎に四肢に紫斑があったので石見銀山中毒ではないかと問う。玄斎は自分で白河屋敷に行った。砒素中毒だった。食あたりの侍は国許からやってきた勘定方の不正を調べにきたものだった。勘定方五人で口裏を合わせ毒を飲ませていた。知らなかった向井が篠屋に苦情を言って来たのだった。女中・孝の息子・下っ引きの千吉が白河屋敷で調べてきた。板前の薪三郎は借りができたな。と綾を見た。
満天丸 身体の細い、船頭には不向きに見える男・竜太が船頭見習いで篠屋にやってきた。泳ぎも出来ず、当たり屋をしたり、世間の評判も良くない。だが、弱いもの苛めは放ってはおけない。溺れている人を助けようとする。船頭・磯次は仕込む気になっている。
秘めごと 篠屋の旦那・富五郎の妾の家で、綾は三遊亭円朝を紹介される。富五郎は円朝の贔屓だった。寄席の入場券を貰った。こっそり寄席に行った。綾との出会い現場をいい女に会った話として話されていた。綾は円朝を贔屓していた大店の娘に簪で狙われた。綾はいい女の一席を聞いたのだろう。娘は物狂いの診たてだった。
雪女の話 ほとけと思われた侍の脈があった。一面の雪、寒い朝、侍が倒れていた。気がつき、仙石医院に移された。侍の命が狙われた。旗本の次男・小寺悌次郎、江戸を出るという。悌次郎は借金返済と報償金百両のために京へ行き、誰かを斬ることを強いられている。三年前にも借金のために人を斬っていた。綾はご無事でと願う。
酒乱斎 綾は二階部屋から外を描く酒乱斎を泥棒の下見だと思った。本当の泥棒は酒乱斎の書いた絵の中にいた。芸妓の送り迎えをする箱屋の”安さん”だった。綾は酒乱斎に絵を描いてもらいその絵を貰った。綾は狂斎の絵だと思った。後の暁斎だ。
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