下り酒一番〈二〉 分家の始末 千野隆司
武蔵屋の妾腹の三男・手代の卯吉は、新酒「稲飛」の売り出しを任される。奔走し第一段の売れ先が決まる。支払い金を分家の借金に充てるよう言われるが、灘の酒造家・大西屋には絶対に支払わなくてはならない。
分家・次男の次郎兵衛の借金を調べる。旗本御用達になれるという甘言に乗り、潰れかけた酒屋の借金の保証人になっていた。旗本の用人と商家の分家の主との詐欺だった。調べるにあたり、母の弟・茂助と、父の弟・大和屋勘十郎、武蔵屋主・市郎兵衛の内儀小菊の養父・坂口屋吉右衛門の助けを借りる。詐欺だと判り証明も出来るが、どんどん利子が増えるため借金の返済に行く。日を知らせ、途中で金子を奪いに来た所を捕まえた。
船問屋今津屋の江戸店の主人・東三郎の娘・結衣にちょかいを出していた宗次も仲間に加わり捕まった。結衣に礼を言われる。
先代市郎兵衛と番頭吉之助が残した「武蔵屋を守れ」の言葉が卯吉の心の真ん中にある。
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