武士の流儀〈二〉 稲葉稔
昔の男 桜木清兵衛は二十年以上前に関わった悪さをする男・権蔵を久々に見た。地回りを追い出し、商家からみかじめ料を無理強いしている。地回りの遺体が浮いた。清兵衛は地回りを殺したのが権蔵だという証拠を持って権蔵を捕まえ、自身番に知らせた。
道草 商家の遊び人の若旦那が、人の妾に手を出しそうになり、主に知られた。仲に入りその場を納めた桜木清兵衛に、若旦那は礼を言いながら金を出す。かちんときた清兵衛は、金や物で返すものではない。誠を持って感謝せよと言う。若旦那の父親にも、甘やかして育てたのうと言う。
海棠の花 自分の道場を失い妻を離縁し息子とも別れて暮らしている元剣道道場主と会う。何も食べず倒れたところに居合わせた清兵衛。妻子の長屋に働いて得た金を放り込む。息子・石塚辰太郎は道場の試合に勝ち師範代になれそうだ。清兵衛は三人を会わせ話をさせ、三人で暮らすことになった。
仇討 清兵衛の息子・北町奉行所当番与力・桜木真之介の下に、佐倉の名主の長男・甚之助が父親の仇討をするとやってきた。届けも出ていないことなので許可を出せず帰らす。気になった真之介は清兵衛に話す。清兵衛は甚之助の仇討を止めさせることが出来ない。一緒に堀田家の屋敷を見張り仇・柴田源兵衛を探す。柴田は名主殺しが判明し、同僚の刀を盗み逃亡したため、佐倉藩の目付も探していた。清兵衛は柴田を見つけ出し、甚之助の敵討ちを止め、目付に渡す。
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