隠密船頭〈三〉 謹慎 稲葉稔
南町奉行・筒井和泉守の引きで隠密となった沢村伝次郎は、町廻りの途中何者かに襲われた。意識が戻った伝次郎の目の前には、上田屋太兵衛の死体があった。北町同心二人・島田元之助と広瀬小一郎から疑いを掛けられ、疑いを晴らしたものの謹慎になる。与茂七と粂吉の手を借りて同心に知れぬよう調べを始める。
自身番の久右衛門が殺され、広瀬の手が取られ、伝次郎に声を掛けてきた男も殺され、上田屋の事件は何も解らない。
北町奉行大草に頼まれ伝次郎は助をすることになった。
本当の狙いは広瀬だった。広瀬に掏摸で捕まり死罪になった男・新五郎の復讐のために広瀬に殺人の濡れ衣を着せようとした。掏摸で捕まった新五郎は、若い掏摸・佐吉を庇い、擦った財布を所持し、久右衛門に犯人と言われ、広瀬に逮捕された。新五郎を恩人と思う金三郎は、奉公していたころの上田屋の扱いに腹を立てていた。広瀬と伝次郎を間違えたために伝次郎に声を掛けた男は殺された。
千草はもう一度店を始めようと思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿