2021年12月1日水曜日

舞風のごとく

舞風のごとく あさのあつこ

 小舞六万石の城下に火事が起こった。大火事だった。罹災者が多く出、新里正近の兄嫁・恵心尼・七緒が居る清照寺にも罹災者が集まっていた。清照寺には千代も引き取られていた。千代は七緒の兄・生田清十郎の娘。 生田清十郎は施政者に作り上げられた殺人者だった。妹・七緒の夫・新里結之丞を殺した。弟・林也・正近が清十郎を斬った。千代の辛い日々が始まり、七緒に助けられたところだった。全てを知っているのは、正近の現主・樫井透馬と七緒だけだ。正近と透馬の友・半四郎も知らない。樫井透馬は庶子だが長男が身体が弱いため家老職の樫井家を継いでいる。正近と半四郎は透馬個人の家来になっている。

 透馬と半四郎は、樫井家の蔵を開け、全ての米を罹災者に別ける。藩にも蔵を開けるように掛け合うつもりだったが、登城を止められる。二人は火災の原因を探す。火事の元に行き探った。知りあいの元遊女・梶に合う。身請けされ商家の嫁になっていた。二人の命が狙われる。梶は川で死体となって見付かる。

 千代は罹災者が死ぬ間際、付け火を見たと告白され提灯の模様を告げられる。千代が町へ使いに出た時、襲われるが、廻りの人々に助けられる。千代が町に出たことを知った七緒は、正近に助けを求める。馬で駆けつけた二人は千代が助けられる現場に着く。助けられた千代は新里家で休まされ次の日、清照寺へ送られる。正近は七緒に会う勇気がなく半四郎に送って貰う。正近は七緒にわが家にいて欲しかった。が七緒は寺に行ってしまった。千代は正近に心を寄せたようだが、正近は千代を不幸にしたと思っている。半四郎は千代に心を寄せた。

 透馬と正近は火事のこと、火事後の煮え切らない藩の態度に不審を感じて調べていた。

 正近は元水杉派の生き残り稲生の娘・弥生と妻帯していた。お腹の中で子供が亡くなり妻は実家に帰った。稲生の家で当主が刀を振り回して家来を殺していた。火事のために人々が大変なことになり正気でいられなかったようだ。火事は元水杉派の者を元押し込み梶の亭主の甘言でなされたことだった。火事を起こし城下を騒がせる。梶井家老に一泡吹かせる狙いだった。家老の評判を落とす。稲生は自決した。弥生と弟が残った。新里家で養生する。

 透馬が最後に行き着いた。全てを誘導したのは梶井保孝・透馬の兄だった。自決したくとも刀も持てない。命は亡くなった。父親は致仕届けを出した。
 保孝の世話係のふさに子供が産まれる。透馬は梶井の血だ。生まれればそいつに家督を譲っておれはお役ご免になれるとふきの家をを建てた。

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