東京バンドワゴン ④ マイ・ブルー・ヘブン 小路幸也
プロローグ 昭和二十七年四月
マイ・ブルー・ヘブン〈私の青空〉がラジオから流れる。私を救い、自分たちの新しい人生を求めてアメリカへ旅だった。マリア、ジョー、十郎。
On The Sunny Side Of The Street 昭和二十年十月
父に寄せ木細工のような箱を持たされ、浜松の東雲の家に行くように言われた。箱を肌身離さず持ち時が来るまで開けてはならない。どんな人に会っても声を掛けられてもまっすぐ浜松に行く。怪しいと危険だと思えば迷わず逃げることと言われた。政治に関わる大変重要な文書が入っている。五条辻の娘です。何があろうと強く生きるのです。
上野でアメリカ兵に、五条辻咲智子さんですね。と声を掛けられ捕まりそうになる。丸坊主に真ん中だけ髪が長くニワトリの鶏冠のような頭の男性に、嫌がっているじゃないかと助けられた。手を離しなさい。とキングズ・イングリッシュで話す。一本背負いでアメリカ兵を地面に打ち付けないようにしてあげた。ピストルを出した時、上から人が降ってきて野次馬が傾れ込んできた。そして私たちは逃げた。
彼は堀田勘一。東京バンドワゴンという古本屋さんだった。静岡行きの切符を無くし、家にも帰られず、古本屋さんに匿われる。
主・堀田草平は、五条辻家は陛下にも近い位置で激動の時節を過ごされた。この文書は陛下の戦争に関わる何がしかの文言が書き留められた文書なのだろう。それを狙っているのは、GHQだけでなく日本の元軍関係、やくざにも狙われるだろうと言う。父・五条辻政孝くんとは学生時代の友人だと言う。ケンブリッジに留学も同じ時だった。祖父は堀田達吉・三宮達吉。鉄路の巨人と言われた人だった。
勘一の母・美稲と大山かずみを紹介される。勘一の結婚相手という偽装で辻本サチ。堀田サチになったということにした。
ジョーのボスは政治家の大物、十郎は陸軍情報局、そしてマリアも、それぞれ違った立場で、箱の移動を防ぐ目的で守りに来た。箱はベストに縫い込まれ肌身離さず身に纏うことになった。
五条辻の父母の居所が分からない。どこかに軟禁状態ではないかということだった。トラックで五条辻の家に忍び込み、持ち去られていない物を運びだした。
Tokyo Band Wagon 昭和二十一年一月
堀田勘一は、東京医専の学生だった。マリアの父親は東北の鬼神といわれる介山陣一郎だった。ジョーの父親は日本人で母親はアメリカ人、父親は早くに亡くなり、母親はアメリカで再婚して、GHQの幹部の妻として、日本に来ている。
介山がやって来た。妹の幸子も来た。
ジョーの母親が、危険だから自分に近づくなと言ってきた。
十郎が狙われた。この古本屋の力を見せるために内覧会を開いた。皆を招待するには二日かかった。出版社、作家、元財閥関係者、政府関係者、実業界の大物、音楽界、芸能界。
ジョーの母親が、五条辻夫妻はヘンリー・アンダーソンが軟禁していると情報をもたらす。アンダーソンは元東集済様の屋敷に住んでいた。サチは屋敷の内部を知っていた。
My Blue Heaven アンダーソンの屋敷で行われている演奏会に呼ばれるため、ジャズ・バンド・TOKYO BNDOWAGONを結成する。マリアとかずみが歌、サチはピアノ、勘一はベース、ジョーはサックス、十郎はドラム。マネージャーと用心棒に海坊主、山坊主、川坊主が付いてくれた。いろんなステージに立つ。アンダーソンのステージから依頼が来る。
演奏後、父母が監禁されていそうな部屋へ忍び込み、父がいつも使っている名前入りの万年筆を見付け持ち出す。
草平はアンダーソンをジョーのボスの別荘へ招待し話し合う。サチと勘一も一緒に呼ばれ、サチの知らない間にすり替えられた箱を燃やされる。サチは本物がどこにあるか知らない。サチほ箱から離れた存在になったことを認めさせた。アンダーソンが手に入れたことにし、サチの父母を今までと同じ大切に保護することを求め、アンダーソンは了承した。
別荘からの帰り、勘一は偽装結婚は辞め、夫婦になってくれないかと言った。サチは了承した。
お母さん・美音が病気療養のため草平と伊豆に行く。勘一は三代目になった。我南人が生まれた。
昭和二十七年四月 アンダーソンがアメリカに帰った。三日後、サチの父母が東京バンドワゴンにやってきた。祐円さんの神社で式を揚げる。
eqilogue 昭和三十七年四月 我南人の高校入学祝いに、アメリカのジョーと十郎とマリアからエレキギターが届いた。
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