貸し物屋お庸謎解き帖 平谷美樹
桜と長持
桜と長持 元禄九年(1696年)
二年前に開店・湊屋両国出店 庸は店主、本店から手代の松之助が通っている。同じ商売の大店の店主・長兵衛が長持を貸したが何に使われたか判らない。次に貸しても大丈夫が調べてくれと言ってきた。雨が降り、大工をしている弟・幸太郎と、甚八が調べてくれた。
白粉屋の娘がいなくなっていた。無理に結婚させられる娘は、店の者の手を借りて駆け落ちしていた。長持は落ち葉を入れる所に埋められ、娘がいなくなったと大騒ぎになるまで一晩娘を隠す場所に使われた。長兵衛から白粉、店の者から口紅を貰った。
遠眼鏡の向こう 庸は自分が清五郎を好きなことに気がつき戸惑っている。
呉服屋京屋の若旦那が遠眼鏡を借りに来た。挙動不審の人は何に使うか調べる。吉助は出会い茶屋の女を見ていた。女を調べるとあやたろうという家に入った。吉助の挙動が怪しく女の身が危ないと感じた庸は女に用心するよう言いに行く。綾太郎は陰間だった。女は綾太郎だった。綾太郎たちは庸を気に入る。吉助が動くように綾太郎は出合茶屋に行く。吉助は匕首を持って構える。そこにいたのは綾太郎と清五郎だった。庸は清五郎が危ないと吉助に飛びかかる。庸は吉助を父親の所に連れて行き、このままでは吉助が何をするか判らないので誰が見張りを付け、上方にでも修業にだして欲しいと言う。陰間に手を出すのはいい。匕首を出すのは良くない。
小猿の面 猿の面を借りに来た。何に使うのだろう。綾太郎の仲間が調べてくれる。犬猿の仲ということで犬払いに使うようだ。見えてる者と見えてない者がいる犬のようだ。庸も見張る。権介という昔飼っていた犬のようだ。抱いてもすり抜け、餌をやっても一所懸命食べても減らない。夫婦に行くべきところに行けよと言うと光が薄くなった。次の日は出なかったようだ。
つぐらの損料 綾太郎たちが庸が貸したつぐらに入った捨て子の赤ちゃんを連れてくる。つぐらを借りて行った名前から、母親が分かった。父親は賭場の借金三十両を残して死んでいた。三十両の借金のために身を売る。子供を綾太郎たちに託していこうとした。庸は何もできなかった。もらい乳をした家が一緒に育てると言ってくれた。
清五郎に話に行き、何も出来なかった。貸せぬ力もあるということを学びました。辛うございますと報告した。
ちびた下駄 ちびた下駄を借りに来た。綾太郎たちが調べてくれる。櫛や簪を売る丸屋の主人だった。半月に一度、物乞いに化け呉服屋の前に座る。一人の女を見ていた。故郷・上総に残した女房と娘が、父親を探して江戸に来ていた。父親は出稼ぎに来て、丸屋の入り婿になっていた。庸は何もしなかった。母と娘は自立していた。
清五郎が良い仲間を持ったなと言う。
大歳の客 長いこと会っていなかった息子に会いに行くという年寄りが来た。膳と器を二人前借りたいという。ここで借りると酒と肴が付くと教えられたと言う。姉のりょうだ。息子の長屋に行く。息子は誰もいないと言うが、庸は半兵衛は死んだんだなと話、息子と話す。半兵衛は謝ってばかりだった。誠太郎は最後に住んでいた所を聞き、遺骨を貰って来ると言った。半兵衛は泣いた。
帰り、りょうが現れた。修業が終われば二度と外に出られないらしい。
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