2022年7月14日木曜日

貸し物屋お庸謎解き帖

 貸し物屋お庸謎解き帖 平谷美樹
  桜と長持

 桜と長持 元禄九年(1696年)
 二年前に開店・湊屋両国出店 庸は店主、本店から手代の松之助が通っている。同じ商売の大店の店主・長兵衛が長持を貸したが何に使われたか判らない。次に貸しても大丈夫が調べてくれと言ってきた。雨が降り、大工をしている弟・幸太郎と、甚八が調べてくれた。
 白粉屋の娘がいなくなっていた。無理に結婚させられる娘は、店の者の手を借りて駆け落ちしていた。長持は落ち葉を入れる所に埋められ、娘がいなくなったと大騒ぎになるまで一晩娘を隠す場所に使われた。長兵衛から白粉、店の者から口紅を貰った。

 遠眼鏡の向こう 庸は自分が清五郎を好きなことに気がつき戸惑っている。
 呉服屋京屋の若旦那が遠眼鏡を借りに来た。挙動不審の人は何に使うか調べる。吉助は出会い茶屋の女を見ていた。女を調べるとあやたろうという家に入った。吉助の挙動が怪しく女の身が危ないと感じた庸は女に用心するよう言いに行く。綾太郎は陰間だった。女は綾太郎だった。綾太郎たちは庸を気に入る。吉助が動くように綾太郎は出合茶屋に行く。吉助は匕首を持って構える。そこにいたのは綾太郎と清五郎だった。庸は清五郎が危ないと吉助に飛びかかる。庸は吉助を父親の所に連れて行き、このままでは吉助が何をするか判らないので誰が見張りを付け、上方にでも修業にだして欲しいと言う。陰間に手を出すのはいい。匕首を出すのは良くない。

 小猿の面 猿の面を借りに来た。何に使うのだろう。綾太郎の仲間が調べてくれる。犬猿の仲ということで犬払いに使うようだ。見えてる者と見えてない者がいる犬のようだ。庸も見張る。権介という昔飼っていた犬のようだ。抱いてもすり抜け、餌をやっても一所懸命食べても減らない。夫婦に行くべきところに行けよと言うと光が薄くなった。次の日は出なかったようだ。
 
 つぐらの損料 綾太郎たちが庸が貸したつぐらに入った捨て子の赤ちゃんを連れてくる。つぐらを借りて行った名前から、母親が分かった。父親は賭場の借金三十両を残して死んでいた。三十両の借金のために身を売る。子供を綾太郎たちに託していこうとした。庸は何もできなかった。もらい乳をした家が一緒に育てると言ってくれた。
 清五郎に話に行き、何も出来なかった。貸せぬ力もあるということを学びました。辛うございますと報告した。

 ちびた下駄 ちびた下駄を借りに来た。綾太郎たちが調べてくれる。櫛や簪を売る丸屋の主人だった。半月に一度、物乞いに化け呉服屋の前に座る。一人の女を見ていた。故郷・上総に残した女房と娘が、父親を探して江戸に来ていた。父親は出稼ぎに来て、丸屋の入り婿になっていた。庸は何もしなかった。母と娘は自立していた。
 清五郎が良い仲間を持ったなと言う。

 大歳の客 長いこと会っていなかった息子に会いに行くという年寄りが来た。膳と器を二人前借りたいという。ここで借りると酒と肴が付くと教えられたと言う。姉のりょうだ。息子の長屋に行く。息子は誰もいないと言うが、庸は半兵衛は死んだんだなと話、息子と話す。半兵衛は謝ってばかりだった。誠太郎は最後に住んでいた所を聞き、遺骨を貰って来ると言った。半兵衛は泣いた。
 帰り、りょうが現れた。修業が終われば二度と外に出られないらしい。
 
 

 


2022年7月12日火曜日

フルスロットル

フルスロットル ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子訳

 フルスロットル キャサリン・ダンス
仕掛けられた爆弾を探す。犯人は捕まえた。どう聞き出すか。時計を速め、爆発が起こって閉まった様子で話す。連行中に記者に「どうしてあの人たちを標的にしたんです?」という質問をするよう頼んだ。爆弾の場所は分かった。

 ゲーム サラ・リーバンが殺されたと思われ、犯人・ウェスターフィールド親子は捕まった。家政婦のカーメル・ロドリゲスはサラの遺体を見付けることを、エディ・カルーソに頼む。
 カルーソが調べた事実は、サラは死んではいないこと、隠れる手助けをしたのはカーメルの夫だった。

 バンプ ポーカの生番組を流した。第一回終了後、お金が狙われた。たまたまその場に居合わせた男がテコンドウで阻止した。第二日目、最終決戦でオコナーは負けた。
 オコナーは現金強奪未遂事件も勝負も出来レースだったことを暴いた。一つ取引といこうか
と最後に言った。

 教科書どおりの犯罪 リンカーン・ライム
第一事件現場にゴミが散乱、物的証拠を得られない。第二現場は爆発し、水をかけられ物的証拠が拾えない。ライムが書いた教科書を準えている。第三の現場は風呂タブ、水を入れながら死んで行く。サックスが助け出した。教科書を買っていたファーガソンの元妻が犯人だった。
 ライムは手術で動く場所が増えている。

 パラダイス 
 
 三十秒
 

2022年7月10日日曜日

無花果の実のなるころに

 無花果の実のなるころに 西條奈加

 父の転勤に同行せず、神楽坂の祖母と暮らすことを決めた中学二年生の滝本望。包丁を持てない祖母は面倒くさがりで、気が強い。でも「お蔦さん、お蔦さん」と誰からも頼られるような不思議な吸引力を持っている。お蔦さん目当てに人が集まってくるから望も忙しい。
 本名・滝本津多代。神楽坂の元芸者・芸名・蔦代。みんなはお蔦さんと呼ぶ。

 罪かぶりの夜 望の幼なじみ・木下薬局の洋平が、蹴飛ばし魔の犯人として警察に捕まった。望はお蔦さんと警察に行く。ヨシボンと呼ぶ刑事さんに詳しく話を聞き、本当の蹴飛ばし魔を探す。洋平が好きな女の子の彼氏が犯人だった。彼氏を庇った浅井美樹が犯行を洋平に見せた。洋平は美樹を庇って自首した。

蝉の赤 望は桜寺中学美術部に所属している。文部科学賞をとった足尾先輩が文化祭に来た。足尾は文科賞をとって自分が使った赤は乾蝉丸という作家の「蝉の赤」の真似なのに賞を貰っていいのかと悩んでいた。赤とオレンジが足尾さんの色と言われて落ち着いた。展示していたその作品が外され穴が空いていた。望と一緒に見に来ていたお蔦さんが烏の嘴での事故としてその場を収めた。本当は足の不自由な杖を突いていた人の杖の持ち手の痕だった。二人は足尾を連れて江木に会い話を聞いた。展示していた絵が落ち手を出した手に杖を持っていたため穴を空けてしまったのだった。彼も、学生の時、父親の絵を真似て描いた絵が賞を貰って悩んだまま年を取っていた。お蔦さんはせめて新藤のじいさんの歳まで続けてけてから泣き言を言いなと言う。新藤のじいさんは、美術部部長の祖父。日本画家。

 無花果の実のなるころに 近所で俺俺詐欺の被害が続く。お蔦さんが調べると犯人はかなり綿密に調べていた。お蔦さんと望は望が作った無花果タルトを手土産に被害にあった志野さんの所に行く。孫の聡が来ていた。お蔦さんは聡と無花果の話しをした。五百万ぐらいだったらいつでも都合できると話す。詐欺電話が掛かって来た。望は祖母がいないので用意出来ない祖母が帰ってから銀行に行くと言うとバイク便がくる方法を指定された。バイク便がお金を運び待っていた男を捕まえた。孫の聡は偽物だった。お蔦さんには判ったから五百万の話をしたのだった。志野さんは望の作った苺タルトを持って面会に行くと言った。

 酸っぱい遺産 芸者頃のお客さんで、今も付き合いのある立脇工業の社長が亡くなった。先代社長がご贔屓さんだった。社長は遺言で個人所有株全てをお蔦さんに残した。総株数33%、六億円になるという。筆頭株主になった。弁護士と息子・専務が伝えに来る。専務の継母、社長の奥さんが来る。お蔦さんと望は会社見学に行く。望は専務の弟・大学院生に開発途中の調理ロボットを見せて貰う。株主総会でお蔦さんの思う通りに進んだ。社長は将棋と同じ、会社も守りの固い土台がしっかりしていた。資産運用に失敗した専務を辞めさせ、特許技術二つを売り、お蔦さんの相続した株を三社に分けて売り、借金を返済した。社長は取締役の一番若い人がなった。専務は喧嘩腰でお蔦さんの前に現れた。辞めさせられた文句を言う。あんたにとって、会社を出て、裸一貫から会社を興し大きくしたじいさんと同じ行き方をしたほうが良いと社長が判断したのだとお蔦さんは言った。守るより攻める山っ気な気質もじいさんにそっくりだ。三代目なんて向いてない。

 果てしのない嘘 わが家を訪ねてきた楓を望は好きになっていた。楓の母親が倒れ病院に運ばれた。通報したのは乾原奉介だった。楓の父親だった。争った痕があるので奉介は容疑者だ。母親・石井有紀は、病院で気がつき自分で転んで頭を打ったと言った。奉介が来たことは知らなかった。お蔦さんと望は病院に行く。お蔦さんは身内だと言う。奉介の義理の姉だと言う。望の祖父の弟だった。奉介・乾蝉丸だった。楓はわが家が預かった。
 有紀は自分で転んだとしか言わなかった。有紀の右手の中指と薬指の爪に茶色の革が付着していた。
 望と楓は同級生の翠に会った。父親も一緒だった。翠の父親は新東フィルのコンマスだった。革製のヴァイオリンケースを持っていた。望は翠の父親が楓の母親の事件と関係がありそうだと思った。
 楓は三才の時別れた父親と会った。楓は奉介の母親・蝉丸とそっくりだった。有紀は退院した。
 お蔦さんは、事件の筋を話した。有紀はガンだった。レーザー治療で治した。音楽教室の生徒が減った。有紀が不安な状態の時、翠の父親・小坂に会った。フランスで二人は恋人だった。小坂と別れたあと奉介と暮らし始め、楓が生まれた。小坂は奉介に、楓は自分の子だと言った。有紀は否定したが、奉介は家を出た。そんな小坂が六千万のヴァイオリンを持っていた。楓と同い年の子供がいる。彼は有紀と付き合っている時、結婚していたのだ。有紀は、楓は小坂の子だと強請った。そしてあの日揉めて有紀は怪我をした。小坂は逃げた。ヴァイオリンケースを警察が調べればはっきりする。
 奉介も望も、はっきりさせることを拒否した。翠もショックだろうし、楓も傷つく。一生黙っていることにする。楓に嘘を付いた。
 楓がずっと笑っていられるようにこの道を選んだ。自分の役割を。
 
 シナガワ戦争 望の友人はイケメンで有名な彰彦だ。洋平と彰彦の家に遊びに行った時、彰彦に、おまえの彼女の翠を捕まえている。すぐ助けに来い。来なければ翠がどうなっても知らないぞと脅かす。時間を伸ばし、用意する。サッカーボールや、いろいろ。情報を集める。彰彦の兄の同級生らしい。相手を突き止め家に連絡する。廃工場へ行き、彰彦と洋平が相手をしている間に望は翠を助ける。だが、捕まってしまう。そんなところに相手の父親と妹が来た。父親は息子を殴った。
 彰彦の家で話しあう。八馬宗司、友だち二人、父親、妹、彰彦の兄と両親、翠と父親、望と洋平。
 宗司の妹が彰彦に告白した。ふられて間がない彰彦は付き合う気がないと言った。それなのにすぐ翠とデートしている彰彦を見た妹は兄に愚痴った。兄・宗司は妹のために翠を捕まえ、彰彦に暴力を加えようとした。
 宗司の父親は謝り、警察に行かすと言った。翠の父は事を大げさにしないと言った。宗司の父は高校を中退し、これ以上半端な真似をさせればこいつのためにならないと言う。
 翠の父は、自分の悪意を持って嘘を言ったり、はずみとはいえ人を傷つけたこともある。ある人に、心からすまないと謝罪して己の罪を抱えて生きるのも立派な生き方だと言われた。人の弱さや痛みを知り、他人の罪も赦す。寛大さを持てと言うことかと思う。
 宗司は買ったばかりのバイクを売った。
 翠の父親もヴァイオリンを売っていた。何か悪いことをして償いに大事なものを諦めたのかなと言った。
 お蔦さんは、小坂と有紀を会わせてお互いに謝罪させたらしい。

2022年7月7日木曜日

京都寺町三条のホームズ 0

京都寺町三条のホームズ 0 望月麻衣 

 過去の二人と京都四季のガイド

2022年7月6日水曜日

東京バンドワゴン⑥ オブ・ラ・ディオブ・ラ・ダ

 東京バンドワゴン⑥ オブ・ラ・ディオブ・ラ・ダ 小路幸也

春 林檎可愛やすっぱいか 我南人は、研人の小学校の卒業式のサプライズライブの後、キースのアメリカの人気バンドのワールドツアーに参加のため旅立つ。池沢百合枝も付いて行った。
 三鷹と永坂と、コウと真奈美の合同挙式が祐円の神社で行われ、三鷹と永坂の結婚披露パーティと藤島の新会社設立のお披露目が一緒に行われた。
 我南人の同級生・おかはし玲の生家を記念館にしようという話が起こる。三十年前に亡くなり本は散逸、なかなか集まらない。
 古本屋のワゴンの上に林檎が載っている。三度置かれていた。
 研人が光輝と喧嘩して泣かせたと学校より電話があった。光輝と父母が堀田家にくる。青の先輩・川上も来る。風一郎が酔っぱらっくる。風一郎を我南人の部屋へ入れる。
 光輝の父・西田は喧嘩をごまかそうとする。勘一はちゃんと子供の話を聞いてやれと怒鳴る。我南人が帰って来る。我南人は全て知っていた。LOVEだね。みんなLOVE をいっぱい持ってる。でも子供だからどうしていいか判らないんだね。
 本の整理をしている時、研人が芽莉依にプレゼントした本が出てきて、光輝は急に泣いてしまった。光輝は芽莉依が好きだった。研人はそれが判ったから喧嘩したことにした。
 おまけが付いた。その本は東京バンドワゴンが検印があった。何故、学校の図書館にその本があったのか。青は昔、川上が好きで店の本を川上に渡していた。青の初恋かな。川上、今は森下、中学校の先生になっている。
 林檎の謎も解決、奈美子ちゃんが研人を好きだったということ。
 研人と光輝、奈美子の芽莉依も、集まったおかはし玲の本を並べる手伝いをすることになった。
 風一郎はいなくなっていた。

 夏 歌は世につれどうにかなるさ 安藤風一郎が十年ぶりにテレビに登場。〈ホームタウン〉大層うれている。我南人の新曲、花陽の着メロだった。堀田家では風一郎の盗作?という話になっている。
 青が映画出演することになった。主役は折原美世、亜美の弟・修平の彼女。舞台は古本屋ということで東京バンドワゴンも使われることになった。
 始まってすぐ、本の積み方、後の家訓の消えかかった文字をきれいに書きなぞっているのを見て、勘一が切れた。予想していた紺と青が、京都の乱麻堂を紹介した。青は京都で撮影に参加した。
 風一郎の盗作?の話が、編曲した龍哉の耳に入る。龍哉はあれは我南人の曲じゃないと言う。龍哉のスタジオで江ノ島ライブのリハをする。その時我南人も行くことになった。勘一と紺と研人も行く。我南人は、我南人が作った風一郎のデビュー曲を弾いた。風一郎は、作りかけの曲を盗んだと言った。アルコール依存症で妻に愛想尽かされ売れる曲が欲しかった。この曲さえあればと思ってしまった。妻が帰って来てくれると思った。あれは研人の曲だと言う。あの曲を全部完成させ、歌詞書いてすごい曲に仕上げたのは間違いなくフーちゃんだよ。
 風一郎は作曲の名義に研人も入れた。印税が研人に入った。

 秋 振り向けば男心に秋の空 この秋でかんなと鈴花は二才です。
 怪しげなヤツがいると言っていた正体が現れた。昔の介山陣一郎の孫、幸子が来た。会社は衰退するばかり、会社もわが家も売り払い整理するつもりだ。父が残した蔵書を譲るならここと書いてあったという。持って来た本は刳り貫いてあった。二百冊ほどが刳り貫かれガラス瓶が仕込まれていた。刳り貫かれていなければ高い本もある。亜美がこの瓶一本で百万円ですと言った。生家は手放さなくてもいいようになった。
 幸子が、おかはし玲の本がたくさんあるのを見て記念館の話になった。原画も絵本も童話もあるという。屈強な男たちが会場のガードをしてくれることになった。

 冬 オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ 研人は学校でバンドを組もうと仲間を集めている。
研人は龍哉のスタジオに一月に二、三度行く。
藤島は藤島ハウスに住んでいる。藤島をストーキングしている男女がいると木島が言う。男は高木宏、女は平井恵だった。藤島の姉が無理心中した相手が、高木宏。高木は生き残り、自分の罪だと長い刑期を務めた。どうして二人が藤島をつけていたのか聞こうとした時、病院から電話があり、勘一の妹・淑子が亡くなった。
 淑子を弔いたいと思うが、淑子はチャーター便でアメリカに帰り、葬儀はアメリカで行われる。
 平井恵、作家の中澤恵さんは藤島の姉の友人だった。麻里の弟・藤島が、麻里とそっくりな中学生と歩いているのに驚いた。誰と付き合っているのか言わなかったが、相談には乗っていた。でも止められなかった。救えなかった。高木は、彼女の弟に何かあってはいけないと思い心配し、様子を窺っていた。
 高木は藤島ハウスの管理人になった。中澤には高木もいる、しっかり聞いて彼女の人生を本に残してやれと勘一は進めた。藤島には二人の手を借り、きっちり葬らせろという。
 十二月二十日、修平と佳奈が式を揚げる事にした。
 真奈美が妊娠した。コウは勘一に名付け親になってほしいと頼む。
 はるに池沢百合子がいた。アルバイトをする。真奈美の親戚のおばさん・慶子さんですと紹介された。
 
 

2022年7月3日日曜日

東京バンドワゴン⑤ オール・マイ・ラビング

 東京バンドワゴン⑤ オール・マイ・ラビング 小路幸也


夏 あなたの笑窪は縁ふたつ かずみ、マードックの引っ越しです。藤島ハウスへ。
亜美の弟・修平が店の手伝いに来てくれる。道ならぬ恋をしているらしい。
 花陽は和太鼓の稽古をしている。双子の兄弟・神林君が迎えに来た。花陽は、恭一君が凌一君か分からないで付き合っている。
 修平君が付き合っているのは、折原美世・三迫佳奈さんでした。人気女優になって自分は彼女の邪魔になるのではないかと考え、別れ話を出していました。青は修平の前で、「佳奈おまえは俺のものだ。子供が出来た身だから一度は諦めたが、昔みたいにな。いいな、修平」と佳奈を抱き寄せる。修平が「冗談じゃない。どれだけ佳奈のことを考えて邪魔にならないように付き合ってきたか」青を棚に押し付けて真っ赤になって怒っている。佳奈は僕の恋人だ。やっと言ったか。脇坂家に帰ってきちんと報告した。
 勘一は、ネズミの墓参りの帰り、茅野の甥を東雲文庫に連れて行く。後説百話物語を見せる。親友の彼氏が浮気する反省させようとしたのだった。浮気する男の怖い話、浮気する男が茅野の甥だった。

秋 さよなら三角また会う日まで 十月 藤島と三鷹と永坂と三人で始めた会社だったが、永坂が辞めた。藤島は三鷹が永坂を好きなことを知っていた。二人が一緒になればいいなと思っている。
 研人は我南人の部屋でギターをいじるようになった。
 新聞記者が堀田家を調べていた。勘一は蔵の中の国宝級の古典籍、古文書だと言う。創業者・堀田達吉は華族・三宮家の入り婿だった。鉄道事業で大儲けした。突然三宮家と縁を切って世捨て人のようになって〈東京バンドワゴン〉を作った。明治の話。その時代に隠さなければならない本や文書を頼まれて隠した。その後、草平も戦後の日本政府と進駐軍の両方に関係があった。財閥の株式売買利益等が蔵に眠った膨大な蔵書購入資金になった。そうゆう物をを海外に散逸させないように、戦いが始まるような偉いさんの文書類を根こそぎ集めた物が秘密の穴蔵があるということだった。家族全員、藤島と茅野も聞きました。
 鈴花とかんなの誕生日。月曜日に転校する神林兄妹を誕生日パーティに呼びました。引っ越し先はイギリスです。
 新聞記者が来た。蔵を調べたいと言う。断ると、マスコミは騒ぐでしょうねとくる。脅しか。敵に回しましたね。木島がやってくる。俺に任せろ。木島はフリーになり裏から脅す。あいつロリコンなんですよ。首尾よくいくとしばらく雲隠れします。勘一は昔からああいう男に助けられて来たんだと言う。

 冬 背で泣いている師走かな 紺の大学の恩師・百々准教授が本を保管できないか聞きに来た。東雲文庫を紹介する。百々は、自分の所為で大学をやめた紺がいるのに、自分が教授になってはいけないと思っていた。紺は紫式部の自筆の門外不出の源氏物語を百々先生に渡し、研究してくださいと言う。百々先生が作った偽物が本物と言われ流出した。紺は自分が作ったと言い大学を辞めたのだった。
 我南人が甲状腺の手術をする。声が出無くなるかもしれない。このままだと死んでしまう。後悔しないように手術する事にしたと発表した。

 春 オール・マイ・ラビング 三月 永坂と三鷹が結婚式を挙げることになった。
 ハリーがやって来た。キースに我南人の名前を出すとすぐに会ってくれた。ギターの中に日記はあった。ギターを持って来た。キースは我南人にワールドツワーを一緒に回ろうと誘っていた。我南人は行くことにした。
 研人は卒業式で我南人のバンド出演を頼みました。校長先生も。言い出しはメリーちゃんです。卒業式で演奏が始まりました。オール・マイ・ラビングです。研人が我南人と一緒に歌った。
 藤島は新しい会社を設立した。
 勘一は真奈美とコウさんの結婚式もしようと提案する。

2022年7月1日金曜日

東京バンドワゴン ④ マイ・ブルー・ヘブン 

東京バンドワゴン ④ マイ・ブルー・ヘブン 小路幸也

 プロローグ 昭和二十七年四月 
マイ・ブルー・ヘブン〈私の青空〉がラジオから流れる。私を救い、自分たちの新しい人生を求めてアメリカへ旅だった。マリア、ジョー、十郎。

 On The Sunny Side Of The Street    昭和二十年十月
 父に寄せ木細工のような箱を持たされ、浜松の東雲の家に行くように言われた。箱を肌身離さず持ち時が来るまで開けてはならない。どんな人に会っても声を掛けられてもまっすぐ浜松に行く。怪しいと危険だと思えば迷わず逃げることと言われた。政治に関わる大変重要な文書が入っている。五条辻の娘です。何があろうと強く生きるのです。
 上野でアメリカ兵に、五条辻咲智子さんですね。と声を掛けられ捕まりそうになる。丸坊主に真ん中だけ髪が長くニワトリの鶏冠のような頭の男性に、嫌がっているじゃないかと助けられた。手を離しなさい。とキングズ・イングリッシュで話す。一本背負いでアメリカ兵を地面に打ち付けないようにしてあげた。ピストルを出した時、上から人が降ってきて野次馬が傾れ込んできた。そして私たちは逃げた。
 彼は堀田勘一。東京バンドワゴンという古本屋さんだった。静岡行きの切符を無くし、家にも帰られず、古本屋さんに匿われる。
 主・堀田草平は、五条辻家は陛下にも近い位置で激動の時節を過ごされた。この文書は陛下の戦争に関わる何がしかの文言が書き留められた文書なのだろう。それを狙っているのは、GHQだけでなく日本の元軍関係、やくざにも狙われるだろうと言う。父・五条辻政孝くんとは学生時代の友人だと言う。ケンブリッジに留学も同じ時だった。祖父は堀田達吉・三宮達吉。鉄路の巨人と言われた人だった。
 勘一の母・美稲と大山かずみを紹介される。勘一の結婚相手という偽装で辻本サチ。堀田サチになったということにした。
 ジョーのボスは政治家の大物、十郎は陸軍情報局、そしてマリアも、それぞれ違った立場で、箱の移動を防ぐ目的で守りに来た。箱はベストに縫い込まれ肌身離さず身に纏うことになった。
 五条辻の父母の居所が分からない。どこかに軟禁状態ではないかということだった。トラックで五条辻の家に忍び込み、持ち去られていない物を運びだした。

 Tokyo Band Wagon 昭和二十一年一月
 堀田勘一は、東京医専の学生だった。マリアの父親は東北の鬼神といわれる介山陣一郎だった。ジョーの父親は日本人で母親はアメリカ人、父親は早くに亡くなり、母親はアメリカで再婚して、GHQの幹部の妻として、日本に来ている。
 介山がやって来た。妹の幸子も来た。
 ジョーの母親が、危険だから自分に近づくなと言ってきた。
 十郎が狙われた。この古本屋の力を見せるために内覧会を開いた。皆を招待するには二日かかった。出版社、作家、元財閥関係者、政府関係者、実業界の大物、音楽界、芸能界。
 ジョーの母親が、五条辻夫妻はヘンリー・アンダーソンが軟禁していると情報をもたらす。アンダーソンは元東集済様の屋敷に住んでいた。サチは屋敷の内部を知っていた。

 My Blue Heaven アンダーソンの屋敷で行われている演奏会に呼ばれるため、ジャズ・バンド・TOKYO BNDOWAGONを結成する。マリアとかずみが歌、サチはピアノ、勘一はベース、ジョーはサックス、十郎はドラム。マネージャーと用心棒に海坊主、山坊主、川坊主が付いてくれた。いろんなステージに立つ。アンダーソンのステージから依頼が来る。
 演奏後、父母が監禁されていそうな部屋へ忍び込み、父がいつも使っている名前入りの万年筆を見付け持ち出す。
 草平はアンダーソンをジョーのボスの別荘へ招待し話し合う。サチと勘一も一緒に呼ばれ、サチの知らない間にすり替えられた箱を燃やされる。サチは本物がどこにあるか知らない。サチほ箱から離れた存在になったことを認めさせた。アンダーソンが手に入れたことにし、サチの父母を今までと同じ大切に保護することを求め、アンダーソンは了承した。
 別荘からの帰り、勘一は偽装結婚は辞め、夫婦になってくれないかと言った。サチは了承した。
 お母さん・美音が病気療養のため草平と伊豆に行く。勘一は三代目になった。我南人が生まれた。
 昭和二十七年四月 アンダーソンがアメリカに帰った。三日後、サチの父母が東京バンドワゴンにやってきた。祐円さんの神社で式を揚げる。

 eqilogue 昭和三十七年四月 我南人の高校入学祝いに、アメリカのジョーと十郎とマリアからエレキギターが届いた。