2018年4月30日月曜日

江戸城 御掃除之者③ 玉を磨く

江戸城 御掃除之者③ 玉を磨く 平谷美樹
 小野中兵衛様御屋敷御掃除の事 掃除之者の山野組は主が亡くなり跡継ぎがいないため断絶になった旗本の空き屋敷の掃除に行くことになった。気鬱の病で芥をため込んでいた。心を病んで芥をため込んだにしては秩序があった。小野中兵衛の上役の不正の証拠品が見付かる。山野小左衛門は、「掃除之者に責任を丸投げされても困る。掃除のついでに見付かったものを届けるべき所に届けるだけ。」と大岡越前に届ける。
 戸山御屋敷御掃除の事 尾張藩戸山屋敷留守居役・杉浦伊織じゃらの申し入れで山野組は戸山屋敷で掃除の仕方を教えることになった。杉浦は元、御土居下同心山野組の者が御庭番であることを見極めるための掃除講習だった。夜中、厠へ起きたものが三十人の黒装束を見る、小左衛門は窓際に人形を立て、蘆の池に隠れた。杉浦は御庭番と同様の技を持つ将軍直属の密偵集団と判断した。
 寛永寺双子堂御掃除合戦の事 寛永寺の双子堂で民間の〈御掃除屋 武蔵〉と掃除対決をすることになった。武蔵が勝てば江戸城の掃除を武蔵がすることになる。尾張の杉浦は掃除之者の邪魔をする。左馬之祐は丸棒を踏み転んで襖を破った。木嶋師匠と新之介が跡形もなく直し、本坊に誤る。左馬之祐は心が乱れては掃除は出来ないと家に帰る。左馬之祐の仇討と弟・吉之助が行く。新人を狙うなら囮になるつもりだ。武蔵の女将・清に掃除の者が尾張に邪魔されていることを伝える。夜中、墨汁をぶちまける仕掛けを作る途中の御土居下同心三人を捕まえる。加納久道を呼び、話し合い、武蔵を勝たせるため御土居下同心が動いた。清が負けを認め、三人の命乞いをしたことにして納まった。武蔵は尾張の全ての屋敷の掃除をすることになる。
  山野小左衛門の息子二人は、掃除之者が嫌で後を継ぐことをしなかった。左馬之祐は今回から掃除之者の新人として参加している。家の中で吉之助だけが話しをしなかった。寛永寺の時、今回だけと参加した。

2018年4月29日日曜日

小説NON3・4月号

小説NON3・4月号
浮世絵惣次日月抄 血闘 門田泰明
 惣次は長屋のおふくろさんチヨに自分の身分を打ち明ける。
 惣次はチヨの子・吾子を連れて望願寺の覚庵を訪ね、寺社奉行板倉石見守と出会い、あまり体調の良くない上様に会われる時は長七郎も石見守も一緒に行くと言われる。

地に滾る あさのあつこ
 讃岐屋で働き始めた二人は、天羽藩の荷役番の石田と近付きになる。殿の側室・末子はもともとは石田の許嫁だった。
 
長崎 路面電車と坂本龍馬 西村京太郎
 長崎を取材中に消息を断った同僚の松本は、何者かに襲われ入院していた。松本は退職願を出す。松本は独自の長崎市観を主張するNAGASAKIクラブの人と東京に行くと言いながら京都へ行った。神山も京都へ行く。

2018年4月27日金曜日

辻占侍 左京之介控

辻占侍 左京之介控 藤堂房良
鏑木左京之介28才、父・勘兵衛は御家人、小普請組世話役をしている。左京之介は迅凱秘伝と呼ばれる観相法を白浪に習い、青浪という名で辻占を内職にしている。小普請組組頭・鬼頭与左衛門を元締めにして、剣術の腕を売る裏内職もする。神田佐久間町の神刀自在流・種子田兵右衛門道場で習った。父親の内職は釣竿作り。
 人足寄場 左京之介は人足寄場奉行・石動に呼ばれ人足寄場に行く。奉行直属ということで、寄場を放免した者の日常を見廻り、現状を探り、相談に乗ってやることという仕事を貰った。二十二人の名前と現住所を教えられる。これから放免される吉次郎の調べも頼まれる。月に3両で頼まれる。調べるために岡っ引き仙太から巳之吉を紹介される。巳之吉は女だった。臨時廻りから手札を貰った個人で動いている岡っ引きだった。吉次郎は一年年期を残した一緒になるつもりの遊女の命を人質にされ、鍵を作り盗人仲間に入ることを強制されていた。吉次郎を調べることで、巳之吉が盗人宿と目を付けた戎屋と繋がり、人足寄場の同心と繋がった。同心は金銭目的で人足の情報を大黒屋に流し、戎屋が人を集め盗みをしていた。大黒屋との繋がりは掴めなかった。
 解き放ち 地震があり津波の心配があったため、寄場奉行・石動清正は寄場人足を解き放つ。帰ってくる猶予を十日とした。五日経って五人が帰ってきていない。鏑木左京之介は五人の探索を命じられた。左京之介は似顔絵を書く。四人は置屋の地下蔵に捕らわれていた。用心棒を倒し、定町廻り同心・岡崎に後を頼む。康造の息子とその養父は鼎屋の主人が用心棒と番頭たちに殺され、鼎屋が利子の回収だけをしていることを知り殺された。康造は復讐しようとしていた。左京之介は用心棒等を殺し、傷を負った康造を島に連れ帰る。康造は死んだ。四人も期限までに島に帰った。
 左京之介は鼎屋から持ち帰った有馬家の借用書を利用して自分の甲府行きを阻止した。有馬家用人は借用書の奪還と左京之介を殺すことを命じた。
 左京之介には百両の懸賞金が付けられていた。辻斬りを殺したことが発端のようだ。
 石動に人足寄場の役人に誘われたが、断った。
 
 

2018年4月26日木曜日

コンビニたそがれ堂⑦

コンビニたそがれ堂⑦ 小鳥の手紙 村山早紀
 雪柳の咲く頃に コンビニにアルバイトから正式に店員になったねここがいた。少年が出会ってその日に死んだ猫を空き地に埋めた。猫の墓を掃除し、死んだ猫に話しかける。たばこ屋のおじいさんから頼まれたお弁当をねここは少年に届ける。少年は魔神の入った壺を抱えていた。ねここは少年をコンビニに連れて行き、壺を預かる。少年はコンビニからの帰り道、生まれ変わった仔猫を見付け、飼うことにした。ねここは魔神を小さくし、餅と一緒に食べた。
 小鳥の手紙 千花は郵便職員。九州の離島で中学の先生をしている彼と四月に結婚するために風早の街を離れる。千花は幼い時、誰も住んでいないような隣の洋館の庭の巣箱をポスト代わりにして空の上のママと文通していた。ママに会いたいです。の一言を書いた手紙、ママもチカちゃんに会いたいです。で始まった文通だった。突然洋館が無くなり、最後の一通以外を庭に埋めていたために手紙も無くなった。千花は郵便局の常連のお客様・綿貫栞子と出会う。昔、人気番組「綿貫栞子の世界紀行」の番組構成、出演もこなしていた海外勤務が長かった記者だった。千花は結婚することを伝える。たそがれ堂を見付け、千花は昔の手紙を入れた菓子箱を見付けた。一年間の文通相手は綿貫だったが、綿貫は千花には告げなかった。
 番外編 百貨の魔法の子供たち 守岡瑛太は小学生の子どもを持つ、星野百貨店の地下でケーキ店を持つパティシエだ。この街には古くから伝わる、狐の神様・風早三郎の魔法のコンビニの話と星野百貨店のホールの吹き抜け天井のステンドグラスに住む子猫の話があった。ステンドグラスから抜け出した白い子猫に会い、願い事を伝えれば願い事は叶うというはなしだった。6年生の時、瑛太と想は、明日難しい手術をする塾の先生のために白い子猫に会おうとする。瑛太はたそがれ堂で見付けた暖かい魔法の手袋を、想と片方づつはめ、閉店になるまで百貨店内で隠れて待ち、見付けた猫に先生の手術の成功をお願いした。屋上で一杯百円のうどんを食べた。そして警備室に行き、誤ったことがあった。今でも怪事件として語り伝えられている。有り得ない事として。でもうどん代二百円は本当にあった。先生の手術は成功した。今瑛太と想の息子が6年生。本当にステンドグラスの猫は出歩くのかという疑問を持っている。
 

2018年4月25日水曜日

浅見光彦と七人の探偵たち

浅見光彦と七人の探偵たち 
 星降る夜、アルル 織江耕太郎
二十三年ぶりに文子に会い二時間話して家に帰ると、妻が二人の子どもを連れて実家に帰っていた。文子が殺されたことを知る。別れてから三、四時間の間に殺されていた。文子に紹介された婚約者・山崎が捕まる。谷島健介は、新聞記者だった人脈で事件を調べる。自宅前でタクシーを降りた文子が赤い傘を持っていたことで、二十年前、健介を裏切って文子と付き合っていた友人・木内の犯行であることを見抜く。関係を拒絶されたための犯行だった。遺書めいた手紙を残し木内は姿を消した。文子は故郷に子どもを預けていた。葬式に行った健介は自分の息子だと気付く。妻は帰ってきた。社会部次長付きから社史編纂にまわされた健介は会社を変わった。
 満ち足りた終焉 井上凛 
生方萌25才、派遣された先は、葬儀会社の終活アシスタントだった。三十五年前、務めていた病院の人気の先生・香野の母親が突然亡くなった。香野登起江は点滴袋の小さな穴を見付けた。数週間後、香野先生と親友の看護婦・優子の交際の噂を聞き、点滴パックに小さい穴があったことを独り言のように呟いた。箝口令が敷かれたが優子の噂が広まり姿を消した。翌年登起江は香野と結婚した。三十年後香野は亡くなり、登起江は終活をするために優子を探してほしいと頼んできた。遠藤真智子と共に優子を探し出した。死ぬまで会うつもりはないと言う。登起江の通夜に呼ぶ。元看護婦長が自分の犯行を自白した。翌日、生前葬を希望した登起江のパーティが開かれた。半年後、登起江の訃報が届く。
 ホタル探偵の京都はみだし事件簿〜境界島〜 山木美里
人気作家・夜光蛍一郎の執筆を助けるため新卒採用の編集者・黒木23才は派遣された。京都府下山間部の持ち回りの自治会長代理をすることになった。山を所有する長引美鳥が山を売り、リサイクル工場やメガソーラーを設置等の案があり、反対住民と揉めていた。黒木は要望書を持って美鳥に会い、話しを聞く。その夜、美鳥が殺される。黒木はその日にやってきた美鳥の弟の犯行だと見破る。美鳥が山を売らないと言ったことが原因だった。黒木は夜光が見破ったことにした。黒木は夜光に結婚を申し込まれるが断った。
 徘徊探偵 ギター男の憂鬱(ブルース) 岩間光介
元探偵・幸次郎73才は娘の家で暮らし始めた。散歩んの途中、頻繁におこっている付け火の犯人を見た。火を消している時に家の主に出会い犯人と間違えられる。このままでは犯人されてしまうので自分で見付けようとする。出会った中津川弓子57才は四十年前にレイプされた経験を話した。復讐するのだと言う。一晩に二件の火事が起こり火災現場の写真から犯人は判った。犯人は自殺しようとして捕まった。一件の火事の犯人は弓子だろうと思う。レイプ犯は顔に火傷をした。弓子はいなくなった。犯人の証拠も見付けた。
 家庭狂師〜名探偵 郁子さん①〜 高橋正樹
小学三年生の丸山健太の家庭教師・関根隼人が健太の家で殺された。警視庁捜査一課の警部補・青柳祐27才は配属されて半年。大学院で心理学科教授をしていたが、十年前に交通事故の後遺症で車椅子の生活を送っている中川郁子65才さんのアドバイスで犯人を見付けた。郁子さんは隼人の母方の亡くなった叔父・警視監の妻だった。
 プライド探偵・曲げない決意 米田京
週刊誌芸能班チーフ・村中覚は元アイドルグループ仔猫組四十二人のために頑張っていた。た・相談に乗っていたり、子どもの送り迎えをしたり。借金が残り、家も売れないと言うナンシーの家が自然発火するようにセットし、火災保険が入るようにした。黒野ちなみの婚約相手が仔猫組を利用しようとしていた。暴力団とも繋がりのある男でどうしようもなかったのか、村中は首都高で三十キロ超の速度で男の車を着火材が積まれた自分の車に追突させて亡くなった。後を託されたのは、元雑誌記者・視覚障害になりインターネット巨大掲示板のまとめサイトを運営している川田勇だった。遺言執行任に指定され仔猫組メンバーの動向をみるようになった。村中の全財産を仔猫基金としファンドを創設してほしいと書かれていた。
 梅雨に降る生徒たち 立木十八
階段の踊り場から落ちる事件が三件起こった。背中を誰かが押すと言う幽霊伝説が起こった。将棋部の二人は、一件目のテニス部の女子は階段から落ちたのは十字靭帯の異常があるからではないかという医者の言葉を引き出す。落ちる前から異常があったということ。野球部二人の落下は、事件があれば雨の日にこんなところで練習をするなと言うことになるだろうと言う目論見のために。と考えた。保健の先生には伝えたが、他のところに伝わっているのかは判らない。
 地下鉄の鏡 内田康夫
浅見光彦の前に、人・ひろ子が落ちてきた。言い残したのは地下鉄の鏡で見たと言う言葉。自殺とされるが納得のいかない友人・平野哲子がいた。光彦が調べた結果。死に場所を探して札幌駅まで行ったが、札幌の地下鉄の鏡に映った自分をみて自殺を止めたということだった。犯人はひろ子の向かいのマンションの住人・ひろ子のストーカーのような男・坂本だった。札幌の駅の端で麻薬の取引をしていた。走り出たひろ子を見て坂本の相手・根岸が突き落としていた。坂本の存在を知った浅見がかまかけの電話を掛けたことで坂本が自分で密告し、捕まった。哲子はひろ子の恋人に産業スパイとか札幌とかの単語で鎌をかける電話をした。もと恋人は上司の娘と婚約しそうだった。上司が札幌に行っていたことから、秘密とか言ったことで機嫌を損じ娘との付き合いを禁止された。彼は会社を辞めた。
 犯人は

2018年4月20日金曜日

街の灯

街の灯 北村薫
 花村家は相模の士族・家老・爵位は無い。叔母は子爵に嫁つぐ。パパは財閥系列の商事会社の社長。兄は雅吉
虚栄の市 花村栄子は級友・伯爵令嬢・有川八重子の家の雛の宴の招かれ、どこかの若者がヴァニティ・フェアと言ったことでサッカレーの書いた虚栄の市を読んだ。家の運転手が代わり別宮みつ子が第二運転手になった。栄子の送り迎えをする。栄子は虚栄の市の主人公の名を借り、ベッキーさんと呼ぶことにする。ベッキーさんは門前に屯する刀を持つ壮士をやっつけた。
 穴を掘り中で毒死した死体が見付かった。同じ頃、同じ下宿に住む男の溺死体が見付かった。栄子はベッキーが貸してくれた江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」を読んで二つの事件の謎解きをする。松子叔母の夫・子爵弓原太郎検事・探偵小説家に話した。警察が行くと、溺死した男の妻が全て話したと叔父から電話を受けた。
 銀座八丁目 栄子と雅吉は服部時計店のビルに上がり、時計の内部を見学する。後でベッキーから私は裏が見たかったと聞く。裏にも時計が付いていたと話す。
 級友の桐原道子・桐原公爵の次女から長女・麗子の手紙を渡される。麗子を栄子の家の車で送る。公爵邸で出会った兄・桐原勝久大尉はベッキーさんに興味を持つ。別の日に招待されベッキーの射撃の腕前を披露させられる。知らなかった栄子は驚く。
 兄の友達が品物を次々と送って来て、謎が解ければ日曜日に会おうと言ってきた。栄子は銀座の夜市に連れていって貰い、謎を解く。栄子は次にはこれが来るとアイヌの民芸品を兄井に渡す。日曜日に兄は朝飯前だと友達に会い、一緒に行った栄子にはご褒美に千疋屋のピーチシャーベットをご馳走した。
 街の灯 軽井沢に避暑に行く。叔父と栄子は、自作映画の鑑賞会に誘われ、新興財閥瓜生家の別荘に行く。跡取り息子豹太の趣味だった。お嫁に行くと噂の道子もいた。映画の途中に塒を巻いた蛇の映像が入り、銅鑼を鳴らされ驚くと同時に家庭教師の井関さんが心臓発作で亡くなった。叔父が後の処理をした。栄子は叔父と自分が証人にされたと思った。井関さんはもっと前に亡くなっていたのではないかと考えた栄子は、道子を誘い出す。道子は全てを知っていた。豹太が追いかけ井関が倒れて亡くなっていた。道子は映画で蛇を見せ驚かせて事故で亡くなったことにすり替えた。せめて親兄弟に十二分にお詫びをするよう約束させた。服を借りた子ども・きのこ売りの子は瓜生の家で書生をしている。
 道子は瓜生と結婚するつもりだ。道子は言う。チャップリンの街の灯の最後、この男が実は自分を救ってくれた人だと気付く。道子はバージニアの顔にいいようのない嫌悪と憎しみの色がうかぶのを見た。私の心を観た。私が会うのは全て駄馬。良いものをみても同じ、良いものから見れば私は駄馬。そして令嬢にもどった。
 秋、道子さんに桐原邸に誘われ、街の灯の最後の場面の観賞会があった。由里岡子爵の息子がサキソホーンを吹く。最後道子は画面そ扇風機で揺らした。
 

2018年4月17日火曜日

小説NON 1・2月号 

小説NON 1、2月号
浮世絵惣次日月抄 血闘 門田泰明 
 惣次、お祖母様、美雪、菊乃が出会い対馬屋に行こうとした時、襲われる。惣次は撃退する。惣次と知りあいの松平市正重頼三万三千石の隠居に後を託す。惣次は美雪殿ではなく美雪と呼ぶ。
 田賀藩四万石中老・廣澤和之進は、天城での修行を終え、打ち貫流小太刀指南・蒲生慎次郎高行に師事すべく松坂を訪れた。
 
地に滾る あさのあつこ
 伊吹籐士郎は柘植左京に会う。左京は深川随一の売れっ子芸者・梅丸屋の京の家にいた。左京に讃岐屋が天羽藩の出入の商家であることを聞き、左京と共に讃岐屋で働くことにする。四人の浪人の強請・集りを一瞬で撃退する。

2018年4月16日月曜日

青い虚空

青い虚空 ジェフリー・ディーヴァー
 護身術のHPを主催するシリコン・ヴァレーの有名女性が惨殺死体で発見される。ハッカーの犯行と断定したコンピューター犯罪課・アンダーソン刑事は、服役中の天才ハッカー・ジレットに協力要請をする。
 捜査中のアンダーソンが殺された。代わりにボスになったビショップ・カリフォルニア州警察殺人課刑事はジレットにオンライン使用を許可する捜査を依頼する。
 ジレットが次の犯罪ターゲットの場所を特定し、刑事が行った時、犯行が行われた。重警備で有名な寄宿学校の校長だった。コンピューターを操作しセキュリティを無きものにする。
 犯人〈フェイト〉の本名がホロウェイであることが判る。協力者・〈ショーン〉の存在も明らかになるが誰だか判らない。ホロウェイにもジレットが警察に協力していることが知れる。
ホロウェイとジレットは昔協力者だったが、ホロウェイが現実の世界にゲームの世界を持ち込み、違法な行い、殺人等を行うため警察に密告していた。ホロウェイは一度捕まっている。
 病院のコンピューターを捜査し、警察を引きつけ、その間ジレットが一人になるようにし、ジレットを殺しに警察の本拠地・CCUに潜り込む。判っていたジレットだったが、逃げられた。捜査状況が伝わっていることから内部通報者も考えられた。巡査部長・ミラーが死体で見付かった。裏切りが発覚し自殺したように思われたが、CCUから逃げるホロウェイを尾行し殺されていた。
 次のターゲットは北カリフォルニア大学と突止めた。信号機等を操作され交通を麻痺される。コンピューターの修理部品販売から辿って行ったビショップとジレットはホロウェイの隠れ家にたどり着いていた。ホロウェイによって身体の自由を奪われた。警察に協力していたコンピューター・セキュリティ・コンサルタントのノーランが現れ、ホロウェイを痛めつけ、トラップドアのソース・コードを聞き出し、正しかったことが判るとホロウェイを注射器で殺した。ジレットを殺そうとした時、モットが現れ、ノーランは逃げた。
 ショーンの正体はコンピューターだった。あらゆるものが埋め込まれたホロウェイの傑作だった。ホロウェイが亡くなってもショーンは動く。ジレットが離婚した奥さん・エラナと寄りを戻したく会いに行った。ショーンはFBIの戦術指揮用コンピューターをハックし、重要容疑者が武装し立てこもっていると情報を流したため、ジレットがいるエラナのいる家が戦術部隊に包囲された。ビショップはショーンを見付け火災報知器を押しコンピューターを止める。ジレットは助かった。
 事件が終わり、ジレットは残り一年を刑務所で過ごす。スタンフォード大学に預けられたショーンの分析を手伝っている。新しいコンピューター・ウィルスの出所を突止めるよう依頼された。それはホロウェイの死と同時に解き放たれたウィルスだった。エラナが面会に来てジレットに子どもがいることを伝えた。

今日血圧が高いので医者に行く。明日から薬を飲む。

2018年4月11日水曜日

京都西陣なごみ植物園〈2〉

京都西陣なごみ植物園〈2〉 安倍晴明が愛した桔梗の謎 仲町六絵
 街角の草迷宮 京都市の住宅街の一角に、異様なほど草の生い茂ったマンション建設予定地の空き地がある。生えている密度も草丈も尋常ではない。神苗健はなごみ植物店の実菜に見てもらう。向いの小学生・みのると出会う。実菜は、神苗にこんなに草が生えていることの害を話すように言う。夜、みのるが飛行リングを使い、葉を傷つけられると他の植物の根を著しく成長させる化合物を出す・シロイヌナズナの種を沢山蒔き、オミナエシやヨメナの種も蒔いたと話していると、みのるが父親とやってきた。マンションが建つと祖母が楽しみにしている大文字が見えなくなるので建てさせまいと噂を広めていた。実菜は出会った時にわかったようだ。
 華道家・鈴池雪伸が現れる。昔からの知りあいのようで、神苗は恋のライバルの予感
 晴明の愛でた桔梗 「御利益カフェ」で阿部の晴明が愛でた桔梗と名打って十八万円で桔梗を売っていると言う情報を、福井からやってきた緑川真奈美が持ってきた。実菜に連絡する。江戸時代の品種改良で生まれたウズキキョウだという。実菜は店に行って百万出すのでこういう商売を止めてほしいと言う。実菜たちは「作戦名・怒りの桔梗」と題してウズキキョウ 西陣・なごみ植物店と書いたタグを付けセロファン紙で包装されたウズキキョウを配った。カフェの人はいなくなった。やってきた真奈美は晴明さんの子孫だった。実菜は福井の名田庄の自制種の桔梗の写真を見せてもらい、必要な時は連絡して下さいと言われる。
 どんぐりころころ 実菜と神苗は植物園でどんぐり拾いをしている高校生と出会う。虫がいるからどんぐりを家に入れるなと言う母親、弟のために、高校生はどんぐりで布染をしようと考えた。植物園から持ち出しは禁止だった。実菜は吉田山に行くことを勧め、実菜も手伝うい、どんぐりを使って帽子を染めた。
 神苗の誕生日、実菜から黒橡・クヌギで染めたコースターを貰った。花弥からのプレゼントはイチゴの金平糖と巨砲の皮の金平糖に、「紅は移ろうものぞつるばみの 馴れにし衣になお及かめやも」の歌が付いたものを貰った。うちの妹をほんの一時の遊び相手にしたらゆるさへんえ・・・と牽制されていると思った。花弥に黒橡を選びます。移ろう紅ではなくと返す。
 禁じられた花 鈴池雪伸に江戸時代の初め、京都の豪商・角倉了以の茶会で用いられた花が何だったか調べてほしいと言われた。「すみのくら茶会再現プロジェクト」の茶花担当らしい。茶会記には禁花となっている。神苗は茶会は秀次と妻妾子等の供養だったことが判った。茶花はコウホネだったと判った。

2018年4月10日火曜日

思い出のとき修理します4

思い出のとき修理します4 永久時計を胸に 谷瑞恵
 昼と夜のエタニティ 明里の店のお客さん・甲原和歌子は悩みを抱えていた。飯田時計店に壊れていないペアウォッチを持ち込んでいた。ペアウォッチの持ち主和歌子の両親は離婚するという。和歌子の彼は結婚を伸ばそうという。彼・亮平の持ち物壊れた日時計のような者を秀司に預ける。修理し夜の時計・ノクターナルだと知らせる。昔の心に引っかかる物を清算した亮平はノクターナルを和歌子に渡すつもりのようだ。
 和歌子の父親は今、家庭菜園をしているが、仕事を辞めて農村に移住したいと言う。母は自分の料理教室をもっと広げたいと思っていた。和歌ちゃんは小学校の時にも不仲になった両親を心配してペアウォッチを飯田時計店に持ち込んでいた。秀司の祖父は二人の結婚記念の日付けの下に和歌子の名前と誕生日を入れた。父親はどんな農業をしたいか判ってきた。母親は夫の作る野菜の御陰で料理の微妙な味や香りがでたことを知っている。二人は仲直りしたようだ。
 幸運のタイムカプセル 津雲神社通り商店街に、すごい人気の大判焼きの安西商店があった。奥さんが亡くなり店をたたんだ。空き家になっていたところに馬部真一が住み始めた。馬部は昔埋めたタイムカプセルから人形と栞を取り出し、安西さんの家で壊わした人形と栞を返し誤り教えてあげると言われた大判焼きの焼き方を教えてもらうつもりだった。安西さんが奥さんから言われていたタイムカプセルを探していた。秀司にはタイムカプセルが判った。奥さんと文通していたのは安西さんの同僚だった。安西さんは同僚の代わりに手紙を返しに行って間違われたまま結婚した。奥さんは結婚祝いに送られてきた陶器の人形が壊れた時、栞が入っているのを見付け気がついていた。安西さんは騙していたことに気が引けていた。
秀司の祖父が作った時計の隠し箱の中には栞・跡継ぎに良縁ありのおみくじが入っていた。
 パートナーのしるし 明里は秀司の家に行った。お母さんはまた二人で来てねとささやいた。明里は秀司は思い出を修理出来るのだと言った。きっかけが不思議と見付かる。そういうものに気付かせてくれる、と言った。お母さんは、お母さんの父親のものだった壊れた懐中時計を二つ預かった。秀司のことお願いねと言われて。
 秀司のところにスイスから誘いが来ていた。修理が必要なアンティークな時計と共に。
 馬部さんは大判焼きの練習を始めた。同じようにしていても何か違った。秀司が器械を見て安西さんの癖を見付ける。馬部はそれがヒントになって安西さんの使っていた器具を思い出す。また試作が始まる。
 秀司は古い写真を見、話しを聞き、どちらが祖父の懐中時計か見極めた。母を呼ぶ。祖父は鉄道の運転士、祖母は駅弁を売る仕出屋の娘だった。鉄道の時計を融通してもらった祖母の時計だろう。おじいさんに見初められて結婚した。時計の傷をみて判ったことだった。部品を取ることをしないで二つの時計は動き出した。
明里はお母さんに秀司を引き止められないかも知れないと言う。
秀司はスイスに行くことは、二人が別れる事だと思っている。時計に夢中になる。他の事に気が回らなくなる。待たせる方は平気でも待つ方は簡単じゃない。恋人が去って行くあんな思いはしたくないと思っている。別れたくないからスイスへ行かない。
明里は秀司が明里のためにスイスへ行くのをあきらめたらいつか自分のことを嫌いになるのではないかと思う。秀司はアンティークの時計を直せないとは思っていない。秀司の背を押していた。
 秀司の作った時計が仕上がった。ドレスウォッチ。結婚して明里は津雲神社通り商店街で待つことにした。秀司が飯田時計店へ帰ってくるまで。

2018年4月9日月曜日

吉原裏同心抄【三】 秋霖やまず

吉原裏同心抄【三】 秋霖やまず 佐伯泰英
 札差の筆頭行司を決めるためのいざこざに伊勢亀を巻き込もうとする次次期筆頭を狙う峰村屋当代と父親・中奥御小姓組頭井出口飛騨守義雅が、黒幕になり般若の達三らが、伊勢亀の後見・幹次郎を呼び出すために、幹次郎が西河岸に落とした桜季を拉致した。桜季を助け出し南町奉行所定町廻り同心桑平市松は池上の甚五郎を、強請、人攫いで捕縛した。
 甚五郎は北町の名前で連れ出され殺された。幹次郎は桑平と井出口の屋敷に忍び込み、親子で殺し合ったように見せかけ殺した。
 幹次郎等が住む柘榴の家の離れが完成した。加門麻の住む離れ家「うすずみ庵」の落成を祝い、先代伊勢亀を偲ぶ茶事が始まった。

2018年4月8日日曜日

新・酔いどれ小藤次(十) げんげ

新・酔いどれ小藤次(十) げんげ 佐伯泰英
 小藤次は嵐の日に行方不明になって亡くなったように世間を欺く。紙問屋久慈屋に押しかけるつもりの殺し屋たちが押し入るように仕掛けて捕まえる。北町奉行所のために。

2018年4月7日土曜日

極小農園日記

極小農園日記 荻原浩
 極小農園日記 Part1秋冬編
   私もソラマメ作ってみようかな。今年はもう遅い。
   蕪はどうやって食べるのだろう。
 極狭旅ノート
   新幹線でのお弁当にあこがれ、気分が悪くなり乗物酔をすることを思い出したことを思い出した。そうだ、あの時は後ろ向きに座ってしまったのだった。進行方向向きに座らねばならない。
 極私的日常スケッチ
 極小農園日記Part2 春夏編
  今年も畑を耕してしまった。キュウリ、トマト、オクラ、ゴーヤ、青じそ、ブロッコリー。去年より増えてしまった。

2018年4月4日水曜日

思い出のとき修理します3

思い出のとき修理します3 空からの時報 谷瑞恵
 星をさがす人 秀司の同級生・横山が懐中時計を持ってきた。秀司には同じ同級生の川添が同じ懐中時計を持ってきたことがあった。懐中時計にチェーンを付けることを奨めると自分が持っていたチェーンを付けた。悪とおもわれていた川添と、いい人と思われる横山。痴漢騒ぎのどさくさに懐中時計を落とした女子高生。痴漢を捕まえ懐中時計を拾った川添は、横山に返却を頼む。返された女子高生が届けた横山をいい人、川添を悪い人と言ったことに腹を立て、懐中時計をむしり取った。彼女に残ったチェーン、横山に残った懐中時計。秀司と明里が彼女の下に懐中時計を届ける。彼女・沢口菜穂子の素直な心になる。横山も変われるかな。川添も素直になるかな。
 コスモス畑とからくり人形 太一があかりと署名のあるコスモス畑の絵を持ってきた。明里は死んだと聞かされていた父親が生きていると聞いたところだったので自分の父親が落としたのかと思ったが年は合わなかった。娘を探していると言う男に会った。娘を探しているのは本当だが彼は詐欺師だった。娘は父親は亡くなったと言う。父親のために婚約を破棄された。父親が頑張れと言ってくれたピアノを今も続けている。彼女が明里に訊く。幽霊は元気だったかと。明里の実父も傷害事件をおこしているらしい。彼女の身の上が自分とダブル。絵の落とし主は明里の義父だった。結婚する五年前に母親の社内旅行に行った時に明里がおじさん・仁科に描いたものだった。義父は秀司の所に時計を持ち込んでいた。
 逆廻りの時間 コスモス祭りのイベントの際に飯田時計店で留守番をしていた郁美は、仕事で付き合いのある三根骨董店の娘だった。秀司は家族ぐるみの付き合いをしていた。郁美は恋人と別れ、上司のセクハラで会社を辞めて帰っていた。反転する時計を見た時、恋人からのメールが半年も経って届いた。郁美は腕時計を反対まわりの時計にして欲しいと頼む。郁美の元彼の両親は離婚していた。父親が母と妹を追い出し新しい母親と妹がいた。彼は家に馴染まず、実母が亡くなって一人になった妹を大切にしていた。家族を郁美に紹介しなかった彼は妹のことも話せず、妹と会うことを誤解され別れることになっていた。半年遅れで送られてきたメールに説明と詫びが綴られていた。郁美は秀司から反転する腕時計を受け取り、彼からのメールにメッセージを送るようだ。
 明里は実父が生きていること、迷惑な人だとかトラブルを起こしたことがあるらしいことを告げた。
 さようならカッコウの家 明里は七年前、佐野不動産に住んでいた正輝と出会う。姉が病気で大変なため預けられていた。姉の事を知りたくて姉の恋人が正輝に近付いたが、正輝走らなかった。男から願掛けした止まった時計(望が叶ったら動かす)を預かった。姉にも見せた。姉は病気が判った時、司法試験の勉強をしている恋人に別れを告げたことを正輝に話した。姉は亡くなった。あの男の人・大橋が姉の恋人だったと今判った。
 明里は実父と合うことになった。実父は倒れ意識不明だという。父は親父と呼ぶ、賀川伸也・再婚相手の連れ子が話す。暴力に脅え離婚した母子の所に父が現れ暴力を振るう、伸也を連れ去ろうとし大騒ぎになった。止めに入った親父が殴り、父親が警察に届けた。事情聴取を受けた親父は仕事をクビになっても笑っていた。父親は来なくなった。息子みたいに可愛がってくれた。大切な人だ。病院からの帰り母が話した。母の母の形見のサファイアを売った。友達に貸したお金の残りで鳩時計を買ってきた。明里が喜んだ。どこが好きだったかと言う問いに、他人事に首を突っ込んで損をして無鉄砲で子どもみたいなところ、と答える。前はそう言ってけなしていた。鳥の巣に入っていたのは鳩時計の鳩・かっこう?だった。
 

2018年4月3日火曜日

思い出のとき修理します2

思い出のとき修理します2 明日を動かす歯車 谷瑞恵
 きみのために鐘は鳴る 津雲神社通り商店街のヘアーサロン由井に住んでいる明里の所に、年の離れた異父妹・香奈が来た。姉妹というが馴染み薄い二人だった。
 香奈は、自分と境遇が似ている顔も知らない異母姉からの遺品の預かり証を持った人から預かり証を渡される。預かり証は明里の恋人・飯田秀司の店の修理時計の預かり証だった。「思い出の時 修理します」のプレートがある。
 遠藤克彦が娘・みどりに贈った遺品がみどりが亡くなり妹・市川菫に贈られた。菫は愛人のの娘だった。姉とは会ったこともないと思っていたが、新月の夜の神社の森で明里と話していて話しかけてくれた知らないお姉さんを思い出す。母親が亡くなり連れてこられた父親の所を飛び出し迷子になった後だ。それがみどりだった。馴染まなかった父親から離れ、母親と住んでいた店の夫婦の養子になった。秀司が預かっていた時計を鳴らす。音を聞き菫が思い出した。菫は時計を引き取った。
 逸れた香奈を探して菫の話を聞いていると、香奈とのことが思い出される。
 赤いベリーの約束 明里は仁科なのだが、ヘアーサロン由井にいるため由井さんと呼ばれる。フルーツ屋宝果堂の夫婦・保と葉子は幼馴染みだった。男二人と女一人の仲良しで高校のころ、奥さん・葉子と医者になった光一と付き合っていたこともあった。親から結婚させられそうになった時、光一は葉子と海外への駆け落ちに誘った。落ち合う場所に来なかった光一の代わりに来たのは保だった。葉子と保は結婚した。お互い気持ちを確かめないまま結婚したためか夫婦喧嘩が耐えない。葉子が一方的に捲し上げ出て行く。二三日で帰ってくるパターンだったが今回は違った。葉子のお腹に子どもがいた。病院で面会謝絶の若本光一のプレートを見て、二人が昔からの思いを打ち明ける。光一はブラジルで交通事故に遭って意識不明だった。秀司の所に預けられたラズベリーのトールペイントの時計と思われていた時計をイチゴの時計に変えて修理する。
 明里は秀司に対して少し自分を出せるようになったかな。
 夢の化石 明里はお酒に酔って先輩・中島弘樹に送られて帰って来た。明里が朝気がつくと秀司の所で寝ていた。自分で二階に上がり着替えを借り、普通に動いたり話したりしてたと言うが明里は何も覚えていない。太一が、秀司が時計を直せなかったらただで髪を切る約束をしたと教えてくれた。先輩・中島が持ってきた時計は石の時計だった。中島が中学の時に落とした物を三日後にみつけたら石になっていたという。明里が先輩の話しをして怒るのは無理ないと言うと、秀司は妬いているのだと言う。
 中島は中学の陸上のライバルにブレーキが壊れている自転車を貸した。ライバルは怪我をして入院した。見舞いに行った中島の県大会で優勝した時に買って貰った時計をわざと落として壊した。おあいこだと言った。中島は陸上をやめた。その壊れた時計・クロノグラフを投げ捨て、探しに行くと石になっていたのだった。
 秀司の所へスピードマスターの修理を頼みにきた人・新見がいた。秀司は石の時計を見せて返す気はないかと尋ねた。新見は十五年前、中島が投げた時計を拾い時計を修理して売ってしまった。中島が時計を探しているのを見て、石材店に勤める新見は石に時計を彫って置いた。
 秀司は中島の時計を見た時、新見が彫った物だと思った。新見が了承したので、中島に修理が出来たとスピードマスターを渡した。
 未来を開く鍵 秀司が明里のために作っているドレスウォッチのベルトを頼んだ岸本沙耶が、落雷に遭い所々記憶がとんでいる。同時に落雷に遭った沙耶の母だと思われていた人は森村千佳代だったが沙耶よりも記憶が無かった。沙耶の物だと思われていた鍵は、千佳代が任されていた家の時計のゼンマイを巻く鍵だった。森村夫婦が昔の話をしている。忘れたことを話しているようにも見えるが二人が思い出を修復しているようだ。
 
 

2018年4月2日月曜日

聡四郎巡検譚 旅発(たびだち)

聡四郎巡検譚 旅発(たびだち) 上田秀人
 水城聡四郎は竹姫付き御広敷用人を解かれ、七百石に加増された。聡四郎は妻・紅と娘・紬と三人で休息の間で会った。紅は吉宗の養女となっているために、吉宗は孫娘紬に守刀として山城粟田口吉光を贈る。紅と紬は竹姫にも会って帰る。
 吉宗は聡四郎を道中奉行副役に命じた。世間を見、監察という任に慣れるため。聡四郎は紅の父親の口入れ屋相模屋で二人の中間を選び、雇って旅に出る。
 品川を縄張りにしている京都から来た利助は、聡四郎等を品川まで見送りに出た紅や赤子を見た。聡四郎を敵と思っている藤川義右衛門が率いる伊賀者に聡四郎が東海道を旅することを伝える。利助は藤川の手の者が少なくなることを望んだ。藤川は利助を品川に閉じこめ自分の縄張りを増やしていた。利助は藤川との取引に使うため紅と赤子を勾引かそうとした。入江無手斎と袖によって守られ屋敷に帰る。
 伊賀者二人が聡四郎たちを追う。箱根の山道で襲われるが二人を倒す。聡四郎と大宮玄馬は師匠・入江無手斎の紹介状を持って道場に寄りながら町を見ながら旅をする。中間・猪太と傘助は遠慮なく逃げることを条件に奉公することにした。
 目付衆は、大名、代官に命じて、面倒事を水城等に押し付けようということになった。
 目付・野辺三十郎は、徒士目付・小高佐武郎に駿府町奉行・遠藤讃岐守への手紙を託す。

2018年4月1日日曜日

風の市兵衛(弐) 暁天の志

風の市兵衛(弐)㉑ 暁天の志 辻堂魁
 唐木市兵衛は、四十才になった。宰領屋の矢藤太の仲介で青物御納屋役所で働いている。
 兄・公儀目付け家禄千五百石・片岡信正55の妻・佐波に去年一子信之助が生まれた。
 小人目付け・返弥陀之介の妻・青がこの春の末に女児を産んだ。
 市兵衛が定客だった一膳飯屋『喜楽亭』のおやじが、川開き後突然亡くなり、喜楽亭は閉じた。
 犬の居候は渋井が引き取った。渋井の別れた妻・藤との子・良一郎17才は家業の扇子問屋の修行に身を入れず、岡っ引き・文六に付いていた。
 市兵衛は、父親・信夫平八と子ども二人・兄が小弥太6、妹が織江4の浪人家族と知り合う。
 夏の終わり、市兵衛の所に吉野金峯山寺蔵王堂の配下・大峰奥駈の山伏・猿浄が来る。市兵衛の母・市枝の母・唐木忠左衛門の妻・梢花は吉野の惣年寄役地下老分・村尾家の女だった。猿浄は吉野に来いと伝えるという命令を果たした。母のことを何も知らない市兵衛は吉野に行く。
 秋七月、市兵衛は吉野にいた。百二十才になる村尾家の大婆さまに、仏師・唐木忠左衛門28と村尾家の娘・梢花18が駆け落ちしたことを聞く。兄の話と照らし合わせる。忠左衛門は江戸に出て剣友・片岡賢斎の家の足軽になった。梢花は市枝を産み、22才で亡くなった。
大峰道で市兵衛は忠左衛門と話した。そのまま生きればよいといわれる。
 秋が深まった頃、江戸に帰った市兵衛は文吉親分を助けて、殺しを依頼され請負い人を殺害する組織潰す。殺しを請け負っていたのは信夫平八だった。猿浄も市兵衛に会ったあと殺されていた。市兵衛は平八を倒す。南町は元締め多見蔵を逃した。
 市兵衛は小弥太と織江と一緒に住むことにした。平八は通りで血を吐いて死んだことになっている。