2019年1月1日火曜日

吉原裏同心抄〈四〉 木枯らしの

吉原裏同心抄〈四〉 木枯らしの 佐伯泰英
 身代わりで入牢した間に財産を盗まれた佐吉。佐吉の隠れ家にはもっと重要な物があった。幹次郎は隠れ家に隠れて忍び込む誰かを待ち、誰が裏にいるか探った。裏にいるのは公用人坂寄儀三郎・旗本だった。公儀の役職でない公用人は幕府の要職に就いた家の用人を引き受け実務に精通、幕閣の機密を承知していた。坂寄は老中松平様の懐刀を自任し、隠然たる力を発揮している。
 坂寄は吉原にも手を出し始めた。茶屋の一軒を買い取るようだ。佐吉から盗んだ金が使われた。吉原会所七代目頭取・四郎兵衛はそろそろ引退をという話しを南北奉行から匂わされた。
 幹次郎は佐吉と同心・桑平市松の三人で坂寄を始末することを考えた。車善七の繋ぎで浅草弾左衛門と会うことが出来、助太刀してくれる話しになった。坂崎屋敷に乗り込み坂崎、坂寄家用人、用心棒を三人で始末し、弾左衛門配下が屋敷を燃やした。坂崎が握っていた秘密はきれいに燃えた。
 茶屋に支払われた金子は返り、佐吉の手に返された。

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