2022年11月3日木曜日

恭一郎と七人の叔母 

恭一郎と七人の叔母 小路幸也
 
 恭一郎が、長い年月を共に過ごし更屋家を継いでいくことになる亜季に、叔母たちの話しをしているはなし。 
 亜季は、加世子の友人・寺の娘・妙子と、更屋家の火事騒ぎで、幼稚園児を多数助け大感謝された早田銀一の娘。銀一と女優の妙子が離婚後、銀一に育てられた。妙子と会話の後、アメリカの大学へ進み演劇を専攻した。亜季は時々日本に帰り、恭一郎と話す。

 更屋家は豪農だった。明治になる前に、植木屋、造園業に転身。
 長女・さき子は19才で加山一造と結婚。一造は政治家の息子であり、学士だった。結婚後半年で列車事故で死亡。身重のさき子は、離縁してもらい更屋家に帰る。
 次女・志乃子、恭一郎との年の差19才 橋本司・歯医者。中学一年生の正月、中学の担任・明石先生との不倫を仄めかされる。一回きりで終わったようだ。
 三女・万紗子、四女・美津子、年の差17才 祖父が残した骨董品を元に店を始めた。店を訪れた飲食店経営の双子の吉田満雄と厚雄と結婚した。
 五女・与糸子、年の差15才。あまりかまって貰えない自分のことは自分ですると判断したのは三才の頃だという。大学入学と同時に家を出た。数学教師になった。中学生の頃、だらしない双子の姉に腹を立て、二人を縄で木に縛りつけたことがあった。24才で、体育教師と結婚。二人とも働くので子が出来て落ち着くまでこの家に住みたいと言った。
 六女・加世子、年の差12才。平凡なおっとりした性格。寺の娘・菅田妙子と友だち。妙子の父は住職、母は映画女優・中田理津子。妙子は目立った存在だった。加世子と一緒にいて加世子の真似をしていれば目立たなかった。加世子は、妙子が自分を押し隠すために一緒にいるということに気がついた。加世子は理解し、妙子を抑えるようにした。芸能スカウトから妙子を護るために周りの学生に妙子を護ることを頼んだ。自分たちが守ったと思っているが、加世子のことは意識にない。高校卒業後、電気部品工場に就職。大手電機メーカーの御曹司の研修時に、案内をして貝原健一と結婚することになる。
 七女・喜美子、年の差10才。愛嬌のいい子。スキンシップの大好きな子。高校卒業後、三年間更屋家の植木、造園業の営業をする。新規顧客開拓はどんどん増えた。喜美子は金と広い度量を持つ男を探していた。造園の仕事も増えたし、職人や建築士も探してくる。そして田島邦和を見付けた。喜美子はパトロンになって欲しかったが、田島は十年掛けて、三人の愛人と妻と別れた。喜美子はバーを持ちマダムとして君臨した。
 八女・末恵子、年の差7才 絵の才能があった。中学で勉強せず絵だけを描くようになったため、美術部の助川先生に勉強が出来なければ美大に行けないことを解いてもらった。先生のモデルになった。ヌードモデルだったため先生と更屋家の秘密にされ、先生は一対一で会わない約束をさせられた。美大二年の秋、突如、末恵子は変わった。長い髪は括っただけ、白いブラウスに紺のプリーツスカート真っ直ぐ家に帰るという生活が、派手な化粧でモデルのような出で立ち酒場にも顔を出す。父親・原史は助川に会いに行く。助川は、高校生の時に男としても画家としても見限られたと言った。原史には何故末恵子が変わったか判らなかった。恭一郎は志乃子の事件の後、大人の世界を垣間見、色気を発し始めた。末恵子は恭一郎のヌードを描いた。末恵子は爆発させ変身した。美大卒業後、パリに行き海外で生活した。自分が死んだら恭一郎にすべて残すと言っている。


0 件のコメント:

コメントを投稿