2022年11月23日水曜日

鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿

 鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿 鳴神響一

 鎌倉山の邸宅の書斎で文豪の蘆名盛雄95才が死体で発見された。神奈川県警捜査一課の吉川元哉巡査長がコンビを組まされたのは、幼馴染で鎌倉署刑事課の小笠原亜澄巡査部長。二才年下なのに小生意気で口煩い亜澄だが、抜群の推理力でこれまで共に難事件を解決してきた相棒だ。

 蘆名盛雄は自殺と思われた。ただ、遺作原稿「稲村ヶ崎の落日」が無くなっていた。

 夫婦池公園の池でフリーライターの上原尚一の他殺体が発見された。吉川は亜澄と組まされ手帳のUBAGAYAを手がかりに「姥ヶ谷」に行く。姥ヶ谷は稲村ケ崎にあった。蘆名盛雄の「稲村ケ崎の落日」についてのインタビュー記事が見つかった。湘南中学の同級生で残っているのは蒲生隆郷だけ、蒲生に読んで欲しいというものだった。インタビュアーは上原だった。
出版社の鳥居は、被害届を出します。原稿は探して下さい。二人は事件が関係すると考え、「稲村ケ崎の落日」を追いかけさせてもらうように頼む。

 蒲生隆郷に会う。二人の孫。開発企画室・蒲生秀之33才、営業戦略部係長・細野敦司34才。
 アラン・カルパンティエ司祭
 蘆名家の使用人、秘書兼財産管理・富田実、運転手兼雑用・金上利夫、料理や掃除・三村和枝・松本麻里奈。

 調べた結果、蒲生隆郷の長男として育った秀郷は、蘆名盛雄の子供だった。母親・貴子だけが知り、貴子が亡くなる前に秀郷だけに話していた。昨年、秀郷は亡くなる前に、本当の父親・蘆名盛雄に告白して亡くなった。蘆名は海軍の特攻に出る前に愛する人と結ばれた。貴子はお腹に蘆名の子供がいることを承知で蒲生と結婚した。蘆名は死んだと思っていた。
蘆名は去年までその事実を知らなかった。そして「稲村ケ崎の落日」を書いた。

 誰が原稿を盗んだか。上原を殺したのは誰か。二人は蘆名盛雄の追悼ミサであぶり出しことにした。AIで合成した盛雄の声で「私の本が何故でないのだ」と言わしめた。
 あぶりでたのは、松本麻里奈だった。
 麻里奈は死のうとする直前の盛雄に頼まれた。原稿を鳥居に渡すこと。一ヶ月前に書いた公正証書遺言を預かった。盛雄は病気のための頭の痛みに耐えられない、もうすぐ意識混乱が起こる。自分の頭がはっきりしている間に片づけておかなければと言った。
 麻里奈は秀之と付き合っていた。原稿を読む秀之が不利に、蒲生家から追い出されると思い表にだすことを拒んだ。上原は麻里奈が原稿を預かっていること、富田や三村がお金を着服していることを知っていた。会おうと言われた日の前に上原が亡くなりほっとしたことを告白した。
 上原は富田と三村と会い、二人を脅した。上原は殺された。二人は認めた。
 蒲生家の人々がすべてを知ったが、関係は変わらなかった。隆郷は、秀之が文化勲章者の孫だ。名誉になっても恥にはなるまいと言った。

 鳥居も隆郷も原稿が見つかりおおいに喜んだ。


神奈川県警の捜査本部長は黒田刑事部長で、捜査主任は福島捜査一課長。二階堂管理官もいた。


 


 

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