情け深川恋女房 小杉健治
深川佐賀町の稲荷小路に「足柄屋」という小間物屋を構える与四郎と小里の夫婦がいた。十三年前に江戸にやって来た与四郎は、地蔵様からの恵みと縁、修行時代に互いに一目惚れした女房の小里を大切にし、支えられた商いが誠実なことで周囲から評判だった。
小僧の太助が、大店の娘と深川祭りに行き難癖をつけられ大怪我を負った。大怪我をした太助を助けてくれた「鶴岡屋」の又右衛門は親切で、動けない太助の面倒を見てくれた。
大店・丸醤の主は足柄屋を恨み悪評を撒いた。商売に影響がでた。
又右衛門と岡っ引きを引退した千恵蔵親分が、周りの人の誤解を解いたり、丸醤の主に会って話しをしてくれた。客は戻って来た。与四郎も小里も千恵蔵親分が親切な理由が分からなかった。
小里は知らなかったが、小里は千恵蔵親分の娘だった。小里には、母親に昔世話になったと話した。
与四郎は、親切な又右衛門に額に傷のある目つきの鋭い男がまとわり付いていることに気付いた。男は又右衛門から預かった箱を長屋の男に渡す。千恵蔵に話し一緒に話しを聞きに行く。
受け取ったのは松藏。昔、店で五百両を盗まれそれがために店が潰れ、医者に行く金が無いため妻は亡くなったという経歴の持ち主だった。男は盗んだ泥棒が返したいと代わりに持ってきたと五百両のお金を置いて行った。
与四郎は傷のある男・秀次郎と話す。秀次郎は又右衛門は、昔、二人の人を殺していると言う。与四郎は今の又右衛門の日常を語り、人助けを語る。秀次郎は、本当に重吾・又右衛門が本当に改心をしていることを知り、事故で亡くなった隠居の死を重吾がやったと言いふらし、自分が殺した弥吉殺しを重吾がやったと弥吉の親に言ったと千恵蔵に話した。
松藏から五百両を盗んだのは秀次郎だった。重吾がやったと言っていた弥吉殺しも自分だと言い捕まった。
又右衛門は弥吉を殺したのは自分だというが、秀次郎を庇うなと言われてしまう。
十三年前、与四郎の有り金を盗んだ弥吉を重吾が殺し、雨宿りしていた地蔵堂に駆け込んできた小僧が地蔵を拝むのを見て可愛そうになり、二朱を置き、持って行けと囁いた。小僧・与四郎は地蔵が言ったとあり難く頂き、今も地蔵様を大事に拝んでいる。そんな関係だった。
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