猫弁③ 猫弁と指輪物語 大山淳子
朝八時 百瀬は大福亜子といつもの喫茶店で朝食デートをした。春美が考えたミッションだった。朝ご飯を一緒に食べる仲になること。朝会って朝食を食べた。
亜子は週末一泊旅行に誘われる。百瀬は秋田にエンゲージシューズを買いに行こうと言う。亜子は店長の家に、百瀬は職人の家に泊まる予定。亜子は長くかかる新幹線を選んだ。
当日、行けなくなったと百瀬が来る。亜子は秋田まで行けば迎えがいるからと一人で秋田に行かされる。
大河内三千代に会った。彼女は何もかも分かっていた。そして自分の気持ちをはっきり伝えるか、あなたが百瀬に慣れることが必要だとアドバイスされた。
早足で歩けて、走っても痛くなくて、雨の日も大丈夫で、何年もどこへでも履いていける目立たない靴を注文した。そして三千代は希望の靴ではないが、この靴を履いて貰いたいと赤い靴を渡した。もっと自信を持ちなさい。人を幸せにする才能を持っているのだからと言われた。繊細かつ強靭な赤い靴。
亜子が帰る時間、百瀬は迎えに行った。亜子はお似合いの男性と二人だった。男はミスター美波、美容コンシェルジュ、テレビに出ている人だった。
百瀬は赤い靴を履いた亜子と会った。亜子は沢山話した。事務員の七重が亜子に真珠が一個ついている指輪を贈った。
まこと先生は、飼い主の小松が引っ越しで飼えなくなるビルマニシキヘビを引き取ってきた。
まこと病院にトラックで轢きそうになった灰色猫を運転手が連れてきた。栄養が足りなくてぐったりし、前足首を脱臼していた。入院させる。
ビルマニシキヘビの行き先が決まった。クビになったトラック運転手・土田帆巣が、運ぶことになった。
秋田に行く予定の日、依頼がきた。小松がビルマニシキヘビを転売された。取り戻して欲しいというものだった。
まこと病院で二人の会話の録音を聞いた。小松に勝ち目はない。
七重は、時々百瀬法律事務所の黄色いドアに落書きする、貼り紙をする少年を捕まえた。
舞台女優・白川ルウルウの密室で飼っている猫が妊娠した。所属するオフィスの社員見習い・味見克子が代理人でやって来て、相手は誰か、真相を解明し、損害賠償を請求したいと依頼する。百瀬は味見を大学に戻し、講義を受け卒論を書くよう勧める。
白川本人に会う。メインクーン種名前はべべ。世界チャンピオンを狙おうかという猫。
野呂が百瀬に代わりペットシッター・今井静香に会い話しを聞く。べべの顔つきが変わったこと。過去に何回も脱走していること。白川ルウルウは恋愛詐欺で被害者が大勢いることを聞く。前回脱走した時、ミスター美波に任せたこと。
野呂は百瀬に自分の過去を語った。白川ルウルウは司法試験の勉強中に一緒に住んでいた女性だった。親に金の無心をして指輪を買って彼女の指に嵌めた。婚姻届けにサインをする時彼女は消えた。会っても名前を言っても彼女は覚えていなかった。
味見克子は、就職活動を辞め、卒業までしっかり勉強することにしたと報告に来た。
真相を報告する。べべは妊娠していない。まことが連れてきた灰色の猫がべべだった。逃げたべべを見付けられなくてミスター美波はべべの母親・マリンを連れてきて入れておいたのだった。マリンは用意された段ボールの中で三匹の赤ちゃんを産んだ。まことが土田を呼び産後の必需品を運んできた。生後二ヶ月ここに置いて欲しいという。白川るうるう・土田とめ子は帆巣の母親だった。野呂は帆巣の年を聞き、父親ではないことが判った。
べべは帆巣が引き取った。帆巣は俳優の金城武に似ている。イケメンドライバーの相棒は大型美ネコ。
土田とめ子は司法試験に十回も落ち弁護士を目指して勉強していた男から指輪を貰い、奮起し、ブロードウェイに行った。その指輪を出し、またもやアメリカに行く夢を追いかけて。
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