2022年11月25日金曜日

八丁堀強妻物語〈二〉 銀の玉簪 

八丁堀強妻物語〈二〉 銀の玉簪 岡本さとる 

 見廻り中の芦川柳之助の目の前で、若い娘・いとが大川へ身を投げた。近ごろ起こっている娘の”神隠し”が、いとの身投げと繋がっているか否か。隠密廻りとして探索を始める。
 恋しい夫のために戦う喜びを味わった千秋は、柳之助の探索が気になる。

 柳之助は定町廻り同心・外山壮三郎と協力する。
 いとと追いかけていた男が仁助と判明する。
 金貸し彦右衛門が殺された。仁助が女を騙し彦右衛門の寮へ連れ込んでいたことが判明。彦右衛門の寮から櫛、簪、匂い袋が見つかる。いとの櫛があった。
 書家の北村東悦の駕籠が襲われ、殺された。東悦の家に賊が入り、金蔵を荒らされた。東悦は彦右衛門とつながっていた。
 仁助の遺体が埋められ見つかった。
 東悦は大身旗本、大名、富商などと付き合いがあり調べていると横槍を入れられる。
 柳之助は、万屋竜三郎と名乗り、消えた跳ねっ返り娘が出入りしていた汁粉屋に行く。女将のふみは、気持ちの良い女で娘たちは駆け込み寺のように訪ねてきていた。千秋の命で花は柳之助を見張っていた。
汁粉屋を出ると小間物屋で玉簪を物色した。花から聞いた千秋は嫉妬し、何故見張らしたのか後悔した。柳之助が帰ってきた。月見灯籠が描かれた銀の玉簪を差し出した。
 仁助や東悦と繋がり、私娼を仕切る、漢籍を売る本橋道四郎の身柄を確保した。取り調べを始めた途端、高家・三雲丹波守から横槍が入り、本橋解き放した。
 汁粉屋で柳之助は、本橋に上手く乗せられないようにと言う。千秋と花はふみをつけた。何か判ったかと聞く三人の編み笠を被った武士と会った。
 本橋が三雲の屋敷に行く途中、覆面の武士に襲われた。本橋は矢が刺さって死んだ。「悪党め!天罰を受けよ」と言った。一人捕まえた武士は「守相手を違えるな。木っ端役人めと言って自決した。柳之助は通りすがりの飛脚を装い立去った。
汁粉屋は店じまいしていた。
 儒者、軍学者・松尾槌次郎は政道塾を開いていた。天誅世直しの活動をしている。ふみの妹が、彦右衛門に攫われ妹は潮来の女郎屋で死んでいた。女を生き地獄に落とす者を許してはならぬ。妹の仇討ちと称して仁助と彦右衛門を殺した。繋がっていた東悦を殺し、本橋を殺した。そして三雲を殺すことを前に、蔵を荒らしため込んだ金を奪うという。ふみは聞いてしまった。槌太郎と一秋が、金を持ち去りさえすれば我らの勝ち。同志たちは先生を逃がすために命をかけるでしょうと言った。ふみは一秋に斬られた。虫の息のふみは、柳之助にただの盗人に成り下がった。今宵・・・と伝える。
 松尾たちは三雲邸を襲った。柳之助、千秋、花は通りすがりの助っ人と名乗り松尾たちにかかる。松尾は荷車に略奪品を載せて屋敷の外へ。千秋の兄・喜一郎が奉公人と共に駆けつけた。柳之助たちは松尾一党を追う。官兵衛は二挺艪で来てくれた。千秋と花が半弓で槌太郎に射掛けた。柳之助は刀の峰で槌太郎の眉間を打ち、ふみ仇は討ったと語りかける。
 奥高家・三雲丹波守は隠居し永蟄居となった。


0 件のコメント:

コメントを投稿