2023年5月15日月曜日

京都寺町三条のホームズ〈19〉

京都寺町三条のホームズ〈19〉 望月麻衣 
 〜おがみ屋さんと鑑定士〜

 プロローグ 賀茂澪人が小松探偵事務所に依頼にくる。鑑定の依頼とお化け屋敷の調査。
二月、清貴は車を買った。葵が清貴をちらちら見ることが気になる。

 変わらないもの、変わりゆくもの 家頭武史・清貴の父が、時代小説から現代小説家を書こうとしている。メディアミックスされたいのでしょうと清貴に指摘される。
 清貴と葵は、依頼人宅、北区中川まで、ドライブする。
 父親の遺品整理をしている依頼主は、顔が赤く腫れている。この家で一晩過ごすとこうなるという。夜、目の前で火が燃えている夢を見、目を開けると真っ赤な顔の男たちがいたと言う。澪人は、祖父が彼の父親が手に入れた品の強い想念を、生きている限りという期限付きで閉じこめたことを思い出した。本人が亡くなり解除されたようだ。大井戸茶碗。澪人の大祓祝詞と、清貴のあなたの望まれる主を探すという言葉でおさまる。
 澪人の書いた封じの札を茶碗の下に忍ばせ一時的に美術館に置かれることになった。
 澪人が「蔵」で話している間、武史はメモをしていた。ホラーにしようかと思っている。

 それぞれの恋慕 円生は、四条大橋で、「若冲が目に留まったものを書いた」と言った葵の言葉を考える。イーリンがボロアパートの前で、ごめんなさいと涙を流して立ち去ったことを考える。
 葵は香織に、バレンタインに陶芸サークルの出町商店街のカフェでの「陶器と花の展覧会」の出品に誘われた。葵はバレンタインが誕生日の清貴に何を送るか悩んでいた。作品をプレゼントすることにした。
 香織は、クリスマスに酔った勢いで一人暮らしになった春彦の部屋に泊まろうと言ったことを悔やみ、拒否されたことに春彦の誠実さを感じると共に、自分に関心がないと思い、好きだという告白を無かったことにしてもらったことを話す。作品に自分の気持ちをぶつけることにした。
 円生は絵を描き始めた。

 黄昏のホラーハウス 小松と利休と秋人と清貴、四人で澪人の依頼を受けた屋敷へ清滝トンネルを抜けて行く。人里離れた山の中にぽつんと存在する洋館だった。
 アメリカの資産家が日本に住んでいた時、日本人と結婚し、この洋館を手に入れ住んでいた。彼は一人娘が小さい時に離婚アメリカに帰った。彼が亡くなり、昔の日記に、私の宝が京都の別荘に残されているかもしれないと書かれてあるのが見つかった。親戚が京都に来て宝を探している。宝を見つけて欲しいという依頼だった。
 彼らは真里に出会った。真里は、母も帰らなくなった。除霊の前にこの屋敷の屋敷の秘密を知りたいと言った。彼らは屋敷を見てまわる。小松は三十代半ばの女性に子どもを探していると声を掛けられる。
 清貴は、この屋敷の秘密、お父さんの宝は、真里さん自身ですという結論に達した。真里は死んでいた。第二次世界大戦のため父親はアメリカに帰り、真里の容姿のため妻と子は山中の一軒屋で暮していた。母は実家に帰った時、空襲に会い亡くなった。娘・真里はもしもの時に入るように言われた隠し部屋に入り亡くなった。真里の遺体が見つかっていないため、母親は亡霊になって真里を探している、と言う。置き時計が入口になっている防空壕の変わりになる地下へ下りる階段の途中に白骨死体が見つかった。真里は母親と消えて行った。
 澪人も真里の遺体がこの館にあるところまでは分ったが、どこにあるかわからなかった。除霊し、真里の父親の孫に会う。澪人に除霊を頼んだ人・亘だった。伯母さんの白骨遺体が見つかったことを告げる。埋葬をお願いする。
 澪人が蔵へ来た。店長・清貴の父はメモを取りながら興味津々だ。澪人が小春とのデートだと帰った後を、質問があると追いかける。澪人と清貴のことを書こうとしている。タイトルを聞かれて葵は「拝み屋さんと鑑定士」と答える。

 終章 二月十四日 陶器と花の展覧会開催。香織の作品を見た春彦は、賀茂川縁に香織を誘う。好きだという春彦に、香織は、クリスマスにキスをねだり拒否されたことを言う。春彦は何かの間違いだろうと必死で堪えた。自分でめちゃ褒めていたと告白する。リベンジしていいかという春彦に、こんなところで駄目と拒否する。デートすることになった。
 清貴は会場に、円生のスケッチが飾られていて驚いた。葵の作品は花器はリボンで包まれジャスミンの花は風船のように飛び立つように丸くなっている。リボンを取ると車の形の花器だった。ボームズさんへのプレゼントです。感激している清貴に、ペンション「レイクサイド」の宿泊券を送る。感激したホームズは、葵にこんなところで駄目です!と怒られた。
 会場を出た円生が、アパートに帰ると、見た目は爽やかな男が待っていた。

 おまけ 澪人は、清貴に、どうやって葵さんと深い仲になったかと聞く。二十歳の誕生日に旅行に。親は致し方なく黙認。外堀を埋めることが大事とアドバイスを貰う。澪人に、「禁欲王子」の称号を譲った。

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