2023年5月9日火曜日

蘭方医・宇津木信吾⑮ 老中

蘭方医・宇津木信吾⑮ 老中 小杉健治 

 ねずみ小僧が松江藩の上屋敷に入った。警護の侍に手傷を負わされた。刀傷を負った男が幻宗の治療院に現れる。ねずみ小僧か確かめるため、警護の侍に詳しく聞くが、はぐらかされ途中で止められた。ねずみ小僧らしき男・次郎吉からも話を聞く。

 信吾は、老中・板野美濃守から抜け荷を迫られていた宇部家老が、美濃守の失脚を事前にしっていたことが疑問だった。失脚した美濃守の家来・鹿島銀次郎が、信吾に近寄り何故美濃守の後ろ盾を断ったかを問う。信吾と話し何かに気付いた様だった鹿島は、殺された。鹿島について聞きにきた鹿島の下で働いていた冬二も殺される。
 信吾は次郎吉につなぎを頼み、美濃守と会う。美濃守は、自分の失脚と二人の殺された真相を知りたいと言った。

 調べの途中、松江藩医師でなくなることなど考え真相の突き止めをやめようかと思ったが、美濃守の自裁を知った。美濃守は鎌倉期の山城国吉光の短刀を形見に届けられた。
 香保にもお抱え医師の看板が無くなる覚悟を伝え真相の追及に乗り出す。
 中野石翁、岩見藩調べたいことが出てくる。
 次郎吉がねずみ小僧で、岩見藩上屋敷に現れると密告される。信吾は次郎吉を止め、盗みを止めるよう説得する。岩見藩邸へ行くと升吉親分が見張っていた。信吾は命を狙われた。升吉らが駆けつけたため彼は逃げた。

 松江藩は、中野石翁に近づき国許の隣の岩見藩に抜け荷の権利を譲り、国境の問題を解決した。美濃守の二人の家来を斬ったのは岩見藩の家臣・勝田伊八郎だった。信吾は調べる途中、間宮林蔵とも話し合った。

 分ったことを、宇部家老に話す。宇部家老は幻宗の元に走る。幻宗は中野石翁のところに行った。信吾は幻宗と石翁の関係に疑問を持つ。宇部家老は話してくれた。幻宗は二年前、石翁の病を治し感謝されていた。関係は持たなかったが、勝田が、信吾の命を狙うことを聞き、石翁のところに行った。どんな結果になるかは分らないが。
 信吾は、まもなく出府する藩主・喜明が寂しがるため藩医を止めさせられなかった。
 間宮林蔵は公儀隠密の職を解かれた。岩見藩の抜け荷は調べられなくなった。川路聖謨から高野長英と再会し、新しい世界を見ていると話す。
 
  

 

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