隠密鑑定秘録〈二〉 恩讐 上田秀人
諸大名二百数十名の人事評価が記された「土芥冦讎記」綱吉の頃に編纂された書物の新版作成のため、小人目付・射貫大伍が調査役に抜擢された。
家斉は自分の権力基盤を強固にしたかった。
大伍は組屋敷を出、独立した屋敷に移る。黒鍬者・森藤の娘・佐久良は大伍の世話をする。
家斉と御側御用取次・小笠原若狭守が、御用の間に篭り密談すると小姓組頭能見石見守から情報を得た定信は、何を話しているか詐欺るよう命令する。また、御用の間の書物を持ち出すよう命じる。能見は、隠密御用の道具を用立てる白木屋を通して忍を雇う。それらを知った小笠原と家斉は大伍に退けるよう命じる。抜け道で待つ大伍は忍んできた忍と会う。忍は手裏剣を残して逃げた。
御用の間の近くで忍同士の戦いがあったと耳にした田沼意次は、何があったか調べさせるために黒鍬者の鈴川武次郎を呼び出した。武次郎は、佐久良を嫁にしようとしている者だった。
大伍は人物評価を探るために、まず関宿へ行くことにした。
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