風烈廻り与力・青柳剣一郎61 桜の下で 小杉健治
青柳剣一郎は、師・真下治五郎から元足袋屋の主人・幸助の力になってほしいと頼まれる。
幸助は元足袋屋の幸助ではなかった。卯平と名乗った。幸助のところに来ていた久米吉が殺される。
三年前、花見の席で女に無袋を働いたため江戸所払いになった宗次が江戸に現れた。夫に売られ遊女屋にいる女を助けたいため、自分と同じ桜の入れ墨の遊女の夫・十蔵を殺し、自分が死んだことにしようと思う。十蔵は、薪炭屋「上総屋」で松島屋で手代をしている正太郎を見張っていた。剣一郎は十五年前、上総屋が盗賊に襲われ主人と番頭が殺され、主人の弟が、正太郎が二十才になるまで主人に納まることになったことを知る。
剣一郎は、久米吉が上総屋の正太郎が店の戻る日を調べていたことを知る。宗次の三年前の事件は濡れ衣だったことを知る。女に無袋を仕掛けたのは、狼と言われていた御家人だった。お裁きが間違いだったことで宗次の人生が変わってしまってはいけない。
十蔵を殺すために近づいた宗次は、正太郎殺しを頼まれる。その前に十蔵を殺すつもりだったが殺せなかった。正太郎を殺そうとする十蔵の前に立ち塞がる。見張っていた剣一郎に十蔵と番頭は捕まる。上総屋の金を自らの店に使い込んでいる主人は、正太郎に店を渡したくなく、十蔵に殺しを頼んでいた。
上総屋に近づいた久米吉を殺していた。
本当の幸助は、十五年前、盗賊が捕まり逃げた男が隠していた上総屋の千両箱を見つけていた。そのお金があることで頑張ってきた幸助だったが、妻が亡くなり江戸を後にした。吉野で出会った卯平に千両箱を息子が跡取りになったら返して欲しいと頼んだ。卯平はそのつもりで江戸にいた。卯平は盗賊の生き残りだったが、剣一郎は明らかにしなかった。
剣一郎はその場所が分った。一本だけ桜が咲いている場所があった。
太助が掘り出し、正太郎に渡した。
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