2017年3月31日金曜日

素浪人家業

素浪人家業 藤井邦夫
 その首十石 矢吹平八郎は豊後笠岡藩中沢家の家来新規召抱えの募集に出かけた。残った二人で立ち合うことになった。平八郎は行かなかった。中沢家の家臣になった夏目源之助は辻斬りを働き藩邸の前で切腹した。夏目の元妻に雇われ夏目の名誉回復と本当の所を探る。
中沢藩には隠している二十歳の息子・久元がいた。辻斬りは久元だった。平八郎は中屋敷で久元と留守居役を斬った。久元は世話役の松井を斬ったが何もなかったことになった。
 ご隠居始末 平八郎は隠居のお供をしている。大工の借金を十両払い、病気の親子に十両渡す。浪人・柴崎に二十五両を渡すように頼まれる。隠居は盗人だった。病気でもう命が無い。助けてくれた者に礼をしたいとお金を渡していた。隠居の金を狙っている者がいた。柴崎は平八郎を殺すように雇われる。隠居は船で海に出て亡くなったようだ。柴崎は平八郎と刀を合わすが、代金分仕事したと離れてゆく。平八郎は残ったお金を孤児のいる尼寺に寄進した。
 仇討ち異聞 平八郎は夫の仇を探している志乃にあった。仇は平八郎の知っている虎吉・竜之介さんだった。志乃と竜之介は不義をしたため志乃の夫が竜之介を殺そうとしたが竜之介が殺してしまったのだった。竜之介は志乃の首を絞め腹を切った。
 身投げ志願 平八郎は川を流れている職人・竹造を助けた。職人は自殺しようとしていたが助けられた。銀の香炉を造ったが盗まれてしまい茶道具屋から二十五両請求されていた。平八郎は葵の紋入りの香炉について調べはじめた。竹造の所から茶道具屋が盗んでいた。旗本は偽の香炉を造り老中に渡し、大目付になった。竹造を殺そうとする茶道具屋を捕まえようとした時、番頭に刺され、寝たきりになる。旗本・井沢が偽の香炉を造り老中に渡し大目付になったことが江戸中に噂として広まる。井沢は大目付を返上、家督を嫡男に譲って隠居した。老中は屈辱と汚名を背負った。侍の社会の事は道場の兄弟子・榊原右京に任した。

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