2017年4月1日土曜日

栄次郎江戸暦(17)

栄次郎江戸暦(17) 闇試合〈下〉 小杉健治
 矢内栄次郎に四千石寄合旗本鳥飼家の娘・菊江との縁談が持ち込まれる。嫡男が急死し娘が婿を取ることになった。栄次郎は二百石の御家人矢内家の次男として育っているが実父は一橋治済だった。
 栄次郎が赤木鬼造を倒し闇試合は終わったと思われたが栄次郎が狙われる。長吉は梶木の妻を身請けするために栄次郎への闇討ちを請け負う。正々堂々を旨とする立ち合いが闇討ちに変わる。栄次郎が赤木と試合をした意味は赤木を倒すことではなく、栄次郎が赤木に倒される事だったと気付く。栄次郎を推薦した書院番頭・岩淵平左衛門は三千石の旗本で次男を菊江の婿にするために栄次郎を殺そうとしたのだった。家督を息子に譲り隠居、家禄は減らされるだろう。
 闇試合を調べている時、鎌を使った武家殺しが起こっていた。犯人は栄次郎の三味線の師匠・杵屋吉右衛門の元弟子・りくだった。三味線が上手いりくだったが、六年前、武士に斬られて右手が使えなくなっていた。故郷に帰り隻腕の鎖鎌使いの彦造に教えられ、鎖鎌を扱えるようになっていた。江戸に帰り六年前の犯人を捜しながらよく似た武家を殺していた。犯人が亡くなっていることを教えられたりくは、栄次郎に試合を申し込む。彦造を殺した赤木を殺したと言う名目で。栄次郎はりくを倒す。

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