2022年5月12日木曜日

千成屋お吟② 菜の花の道

千成屋お吟② 菜の花の道  藤原緋沙子

 青山平右衛門 元北町奉行所定町廻り同心、吟の父親・丹兵衛に十手を預けていた。
 千次郎と與之助 丹兵衛の元手下。千成屋の手代
 
 うば桜 青山平右衛門は釣りの帰り、浪人に斬り付けられた老婆・とらを助ける。とらは帳屋の隠居だが、嫁が岡場所あがりなのが気に入らない。息子に離縁しろと言い続けている。
 平右衛門が懇意にしている山城屋の番頭と手代が殺された。金貸しから三百両を借りて帰る途中だ。謝金が残った。平右衛門が調べるととらを殺そうとした浪人が山城屋の手代たちを殺していた。金貸しが大黒屋徳兵衛が昔は徳蔵だったと判った時、とらが自分の昔を語り出した。
 とらは宿場の飯盛り女だった。自分を女房にしてくれた商人・多助と働いて息子が五才になったころ店が持てるようになった。多助は悪所に通いたまったお金を無くした。徳蔵に騙されたと徳蔵の所に行った翌日、首を絞められて川に放り込まれて亡くなった。徳蔵が犯人と訴えたが徳蔵はいなくなっていた。それから働き息子が二十才になった五年前、店を持った。
 自分が貧しい家の出で夫が苦労し、金銭面で助けられなかったので息子の嫁は良いとこの出をとおもっていた。
 とらは浪人に斬り付けられた前に、橋の物陰にいる男に徳蔵だねと声をかけていたのだった。大黒屋は金を貸したあと殺していたことが判った。山城屋の手代が大黒屋に出入りしていた。大黒屋は捕まった。
 とらと嫁は話しあう。おっ母さんを見習ってがんばると言う嫁。吟の案で、透かしの入った美しい紙や、掌に載る小さな表紙の帳面を作った。評判がいい。

 菜の花の道 天野屋から相談に来る。婿養子が悪所通いで借金を作り困っている。止めさせてくれというものだった。
 天野屋は四年前、偶然行き合わした千次郎と與之助が。天野屋の婿にしようとしていた佐之助が殺されそうになった時、助けていた。佐之助は顔に傷を負い、商売に害すると故郷の近江に帰った。その後、主人が亡くなり、主人の妹・たねが、婿養子に多七を連れてくる。
 調べて行くと、佐之助を殺そうとした時蔵がたねのところにいる。多七が殺された。近江から出てきた佐之助が疑われる。
 たねは腹違いの兄妹で、主人がいるころは兄妹の付きあいもなかった。多七を天野屋に入れるために佐之助を殺そうとした。佐之助がいなくなり多七を天野屋に入れられた。多七は天野屋からお金が出なくなりたねのところに行くようになり、たねは多七を殺させた。捕まった。
 佐之助は自分でお金を集め天野屋に渡して貰う。

葛の裏風 岡野藩の奥女中をしているそでが、千成屋に茶わんを預けに来る。私か、岡野藩の成瀬以外に渡してはいけないと言い置いて帰る。岡野藩の横目付けと家老が成瀬探しを頼みに来る。勘定方・串田が成瀬は人参で挙げた収益を横領していたと言う。
 そでが下屋敷に連れていかれたことをしり、吟はたすけに行く。成瀬も見つかり千成屋に集まったみんなに話される。
 茶わんの布団に入った、証拠の書きつけ。人参を仕入れる商家の主と串田の名前が書かれていた。詮議があり串田が横領で捕まった。上司の娘との婚姻のため持参金が必要だったと訴えた。

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