花咲小路二丁目の写真館 小路幸也
桂樹里23才は、三代目が急死し、カメラマンを急募していた久坂写真館に住み込みで就職した。 新社長・久坂重30才は、写真を撮るが人を撮ると、普通は見えない者まで撮ってしまうため、写真館に来る人の写真を撮れなかった。
重は樹里を動画で撮った。撮った途端真っ暗になり1990年(平成二年)になっていた。重が生まれる二ヶ月前。机の上に、重の父親宛の置き手紙があった。差出人は樹里の母だった。重の母親は出産のため実家に帰っていた。母の手紙はもうここには居られないというものだった。駅にいた母に重が会い話を聞く。地上げ屋に騙されて土地を売る契約書に判を押してしまった。ということだった。重は〈怪盗セイント〉といわれている近所のセイさんに頼むことにする。顔ヲ合わせず声だけで頼み、セイさんは矢車聖人・このあたりの地主として解決すると言ってくれた。また何かの形で借りを返してくれと言われた。
スタジオに戻りカメラのシャッターを押すと、戻った。
セイさんに、父親が撮っていた写真を持って行く。ドネイタス・ウィリアム・スティヴンソンさん。矢車聖人。昔話にはなが咲いた。
二人は、またもやテストをする。おもちゃの車を撮っただけでまた時を移動した。二人と思っていたが、セイさんも一緒だった。セイさんは何もかもわかっていた。セイさんの隠れ家に行き、セイさんの願いを聞く。
十日後に四丁目のアーケードが火事で焼ける。その時、セイさんが養子で入った矢車家も燃える。その前に人に借りていた皿を偽物と替えてきてほしいという。二人はカメラマンとして矢車家に行き、写真を撮る途中ですり替える。
二人は矢車家とその周辺の写真を撮る。矢車家のセイさんの奥さん・志津さんの腹違いの姉と言われる美礼さんのお店を中心に。火事を止めることは出来ないが何故火事が起こったのかが分かるように。美礼さんは火事の後行方不明になり今も判っていない。一週間で判ったこと、美礼さんは志津さんの父の違う姉だということ。父親は丸子橋。矢車家の前のスマートセンターの社長。二人は結婚できなくて美礼は矢車家の親戚の子として育った。
火事の火付けはスマートセンターの実質の経営者・木佐ゲンに絞った。アーケードを焼くだけのつもりが大きな火事になってしまったのだろうと思い、スマートセンターの二階の窓を中心にカメラを用意する。
灯油の匂いがして火矢が飛んだ。写真を撮る。火事に巻き込まれないよう逃げた。現像し若いやくざ風の二人が写っていた。写真を整理し、久坂写真館に写真を隠す。
重が動画を撮ろうとして今に帰った。
写真館に出てきた重の母・聖子が、美礼が亡くなった葉書が来たと言った。そして一枚の写真を出す。樹里が撮った火矢の写真だった。この写真のおかげでみんなが犯人だと疑われないで済んだと言った。美礼は木佐になっていた。孫からの葉書だった。お礼がしたいと言っていたという。
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