2015年5月13日水曜日

風塵の剣(七)

風塵の剣(七)   稲葉稔
 文化六年 1809年
 小早川彦蔵は故郷河遠へ里帰りした。彦蔵を保護してくれている村木籐十郎が暗殺された。籐十郎が次期藩主に推していた若様雄之輔も鉄砲で殺された。藩主・成瀬隼人正義嗣が参勤交代で江戸を出発後、江戸家老・横山三右衛門、国家老・長谷川内記等が押す貞次郎が亡くなった。
 義嗣が国入り時に農民が何百と集まり直訴した。と同時に、横山三右衛門と長谷川内記を村木籐十郎と雄之輔暗殺の首謀者として捕縛した。その時、駿河の代官がやってくるように手配した。彦蔵の計画だった。河遠の農民を助けるためには、雄之輔亡き後では天領にするしかないという考えだった。思わぬことに藩主義嗣も病で亡くなった。
 彦蔵は絵師として生活し、勉強会を開き、勝麟太郎を教えるようになる。

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