2021年10月26日火曜日

禁裏付雅帳〈十二〉 継争

 禁裏付雅帳〈十二〉 継争  上田秀人

 二百石の加増のために江戸へ呼ばれた東城鷹矢。松平定信の走狗として京に赴き、朝廷の弱みを探る密命をこなしててきたが、定信に敵対してしまった。道中の刺客を次々退け江戸へ到着する。
 次の日、定信本人が東城家を訪れる。鷹矢は砂屋楼右衛門とかかわりのあった浪の居所は知らないで通した。土岐が定信と話し、二百年の幕府の主従関係など、千年をこえる歴史には勝てない。闇はどこにでもある。幕府より朝廷に重きを置いている者はどこにでもいる。それが朝廷の強みだと言った。

 鷹矢は黒書院で上様・家斉と会うことになった。上様直々目録を下さると臨んだが、公家の話、光格天皇の話、大御所称号のこじれた理由、最終的には幕府を長続きさせるためには子を作り身内を増やせばいいということまで話す。二百石の加増は無くなった。家斉が着ていた紋付きの羽織を脱ぎ、葵の紋が鏤められている乱れ箱にいれ拝領品となった。
 安藤家の家臣・布施の娘・弓枝を安藤対馬守の養女にすることになった。
 十年、鷹矢は禁裏付の役を続けることになった。
 家斉は、主上にお目にかかることがあれば、躬が詫びていたと伝えて欲しいと言葉を残す。

 京へ帰った。

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