2021年10月6日水曜日

風の市兵衛㉙ 寒月に立つ

風の市兵衛㉙ 寒月に立つ 辻堂魁 

 公儀十人目付筆頭・片岡信正の命で越後津坂藩内定の最中、返弥陀丿介が瀕死の重傷を負った。信正は、譜代ながら跡継騒動を抱え、陰に御用商人の不審な噂が絶えない津坂藩の探索の続きを唐木市兵衛に託す。

 津坂藩の江戸家老・聖願寺豊岳は藩御用商人と組み藩政を握っていた。津坂湊の香住屋と長浜湊の武井が手を組んでいた。長浜には朱雀家の采地があり津坂藩藩主鴇江伯耆守憲実の正妻・蘭の方は朱雀家から来ていた。十年前、朱雀家の遠縁から鴇江家に婿養子に入りお世継ぎに決まっていた。お世継ぎの松之丞が錯乱状態になり暴行し、家臣に斬られたことにより跡継ぎ問題が起こった。聖願寺派は朱雀家から養子を得ようとする。十年前、側室の阿木の方と生まれたばかりの若君を殺されると言う事件があった。御年寄役・戸田浅右衛門は助かった若君を死んだものとして真野分蔵夫婦に託し江戸へ逃がした。その若君を呼び戻そうとした。聖願寺が使っている影の目付・丹波一味が動き、若君を探し出し殺そうとしていた。

 市兵衛は若君を探しだし、襲ってきた丹波を倒す。世継ぎ鴇江憲実が正式に幕府に届けが出された。

 将軍が片岡信正の弟・唐木市兵衛の存在を知った。市兵衛は十俵の扶持を貰うことになった。旗本五千石広川家の養子縁組みの見合い話が進んでいる。

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