2021年10月28日木曜日

よろず相談屋繁盛記①

よろず相談屋繁盛記① なんてやつだ 野口卓

 人は見掛けに 信吾は弟の正吾に浅草寺で、駄洒落や洒落を言えるようになるよう教えている。誰にも言ってはいけないと言いながら、自分が鳥や動物と話せることを教える。信吾には危ない時に、生き物が 教えてくれるという秘密もあった。
 信吾は覆面の浪人に襲われた。信吾は鎖双根で搦め捕る。四年前助けられた真坂だった。九才で棒術と体術を習い始めた信吾は、十五才で真坂にならず者から助けられ、剣術も習い始めた。十七才から護身術・鎖双根に取り組んだ。
 四年前、ならず者に襲われた時、真坂に助けられたが、ヤモリに、その男下心があるぞと教えられた。真中は実家・宮戸屋へ連れて行った。真坂はもてなしを受け今では奉公人たちとも顔なじみだ。
 信吾は真坂と話し込んだ。煙に巻いたようだ。
 宮戸屋の旦那寺の巌哲和尚が信吾と正吾の名付け親だ。七才の時、巌哲の棒術を見、教えて欲しいと頼んだ。その時、店は正吾に継いでもらい自分は世の中の人のために働くために身を守る術を学びたいと言った。
 信吾は、九才で棒術を始める時、巌哲に、三才で病気になりそれ以後自分のしたこと言ったことを覚えていないことがあると告白し、店を潰してしまうかもしれないとはなした。
 信吾は十九才になり、見世を継ぐのは正吾で、自分は相談所を開き、宮戸屋を離れても生きていけるように二枚看板にしようと思った。家族には明らかにしておこうと決心した。

 獲らぬ狸の 信吾は家族に考えを打ち明けた。見世は正吾に継いで貰い、自分はよろず相談屋と将棋指南所の看板を並べるつもりだと言った。父母も祖母も反対した。自分の記憶が抜け落ちることを話し納得してもらった。巌哲和尚にも話した。
 もう少し若ければ将棋指南所を開くのだがと言っていた豊島屋の隠居・甚兵衛に指南所の細かい質問をした。甚兵衛が空き家を貸してくれることになった。宮戸屋から近く、翌日には信吾の荷物を運び、小僧の常吉が住み込んだ。
 年が開け親類縁者、同業の料理屋の主人、町内の有力者、取引先を集め、料理屋「平石」で料理をとりながら、宮戸屋を正吾が継ぐことになったお披露目をした。信吾のことも話された。武蔵屋は信吾と話して悩みが解決した。彼には特殊な力があると言いきった。

 あれも人の子 信吾は将棋指南所の名前を「駒形」とした。初めて十日が過ぎた。マムシと呼ばれる親分権三が来た。親分は信吾と話し機嫌よく帰った。
 信吾の家に泥棒が入った。猫が知らせてくれる。会所に何度か来た万作だった。信吾は話しをし、五百八十八文を貸す。そして金額を万作に返したように証文を書いた。万作が朝ご飯を作り三人で食べて帰った。
 権三が信吾を呼び出す。駒形堂で話しをする。取り留めの無い話しをした。五日後、権三親分が大手柄を挙げた。

 船は波間に お菓子卸商菊次郎の番頭が相談にやってきた。ももお嬢さんが信吾に一目ぼれ恋煩いになっていると言う。信吾は宮戸屋を出たことを話す。鳩の助言もあって信吾は会うことを引き受ける。
 料理屋「深田屋」の息子・粂太郎が、厭でたまらぬ家業を弟に押し付け、勘当されることなく自分のやりたいことをやる方法を教えてもらいたいと来た。私は継ぎたかったと言いながら涙が出た。粂太郎はあわてて帰った。
 ももお嬢さんは信吾が宮戸屋を継がないことを知って恋煩いは消えていた。鳩に米をやる。鳩は豆が良いと言う。鳩と話す。

 騙し騙され 佐助と名乗る男が常連客・太三郎に賭け将棋をを仕掛けているようだ。佐助が一両を負けた時、佐助が五両の賭けを申し出た。佐助は名前を変えてあちこちで賭け将棋をやっている男のようだ。太三郎にも佐助の正体を話し、賭け将棋はしないように言う。信吾は自分のところで佐助を止めるつもりだ。太三郎は佐助に勘当されるのでお金を用意出来なかったと賭け将棋を突っぱねた。すごんで見せる佐助に権三を呼ぶように言う。佐助は信吾にも凄む。信吾は一歩も下がらず、佐助の人相書きが出ていると相手する。佐助は捨て台詞を吐いて出ていった。太三郎は近江屋の家業に精を出している。賭け将棋撃退の武勇伝が広まり町の人たちがやってきて嫁取りの話しが持ち込まれる。
 半月後、太三郎の父親がお礼にと五両を持ってきた。
 


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