あきない世傳金と銀 〈十一 〉 風待ち篇 高田郁
五鈴屋の愛染の浴衣地は江戸中の支持を集めた。一時の流行で終わらせないためにどうすべきか幸は考えた。
神田から火が出て南側を焼いた。菊栄が造っていた簪も手元にあった二本を残し全部焼けた。菊栄は職人さんが無事で良かった。また造れますと言う。
日本橋音羽屋(幸の妹・結の嫁ぎ先)は焼けたが、隣の小間物屋の地所を買い上げて再建している。太物商いにてを伸ばすらしい。
菊枝の簪のお披露目に音羽屋の「娘道成寺」を考えていたが中止になった。
五鈴屋は火事用心の拍子木柄の愛染を売り出すことにした。幸は浅草太物仲間の寄り合いで愛染の両面糊置きの技を伝授し皆で売り出すことにした。音羽屋に買い占められ綿の反物が少ない。仲間で別けあい全ての店から売り出す。
音羽屋は顔見せの役者に愛染を着せ、同じ柄物を売り出した。
幸の夫・智蔵の友人・富五郎が大阪からやってきた。
顔見せの千穐楽に菊栄と幸はよばれた。演目の筋に障らない玉響の出番に、立女形吉之丞と中村富五郎が、白拍子に扮し菊栄の簪を刺し現れた。
浅草太物仲間で下野の綿栽培を手助けすることになった。
勧進大相撲で揃いの愛染浴衣をきることになった。幕内と二段目、三十人。
親和文字を使い個人個人の名前入り浴衣を作ることにした。幕下には手形柄にした。手形柄を河内木綿七十反を半纏にすることになった。触太鼓の面々に揃える。
浅草太物仲間で作り、売ることになった。大成功に終わる。
浅草に丸屋という呉服屋さんがあった。お客に優しい呉服店だった。呉服仲間で値上がりが決まり安く売れなくなった。太物屋に転身したいという話が出た。浅草太物仲間は浅草呉服太物仲間にしようという話が出た。
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