2021年11月6日土曜日

めおと相談屋奮闘記⑩

めおと相談屋奮闘記⑩ 梟の来る庭 野口卓

 恋患い 信吾の竹輪の友の一人・完太が恋患いになった。見合いの相手と相思になったのに、見合いの席で、イヌ、サル、カエルを連発したため相手の親が断りを入れてきた。波乃は相手の豊に会いに行く。豊も完太を気に入っていた。波乃は恋患いになり二三日食事を抜くことを進める。
 二人で結婚することになったと言いに来た。豊は波乃が言った通りになったと驚いていた。

 梟の来る庭 庭に梟・福太郎が来た。信吾に長崎屋のカナリーという鳥の話をする。オウムやインコ、カナリーに興味を持った波乃のために、何でも知ってそうな留守居役・蟻坂吉兵衛に聞きに行く。後日、吉兵衛はカナリーとオウムを宮戸屋に持ってきてくれた。信吾と波乃は鸚鵡返しに驚いた。

 蚤の涎 昇平が相談に来る。昇平は小僧から手代、手代から番頭と出世した。同僚から嫉まれ、初めての集金の帰りを狙うという悪巧みがあることを聞く。信吾が護身術を身に付けていることを知り護衛を頼みに来た。昇平と信吾は体付きが似ていた。夜分でもあるので代わることにした。三人を脅し上手くいった。昇平は何もなかったように振る舞ったようだ。一ヶ月後昇平は実家に帰った。昇平の実家を信吾は知らない。相談事の中で、昇平が使った言葉、蝶の口と雀の涙、蚤の涎で波乃の笑いの箍が外れた。
 昇平が集金に行った足立屋の隠居・鈍牛が信吾に興味を持ち、話しを聞きたいと言われた。父のことを知っているようだ。信吾は何も知らないが聞かなかった。

 泣いた塑像 家事を何も出来ない波乃のために、奥女中のモトが波乃に付いて新所帯に来ていた。モトは全て教えたので春秋屋に帰ることになった。
 モトのことを権六親分が教えてくれた。元旗本の姫・基姫様だった。頑固一徹な父親は公金を横領したとされた。追い落とそうとした連中が書類を偽造し罪を被せた。父親は妻と娘を離縁し、首謀者三人を長男と一緒に叩き斬り、取り巻きも殺傷した。父と息子は切腹した。母も自死し姉は尼になった。基はどこに行った判らなくなっていた。春秋屋に助けてもらった。春秋屋は基を外と接触させず、奥に置いた。
 話しを聞いた波乃は泣いた。モトには知っていることを気付かせないように振る舞う。
 感謝の宴を開いた両家の前で、波乃が礼を言うと、モトは自分が二十年前に春秋屋の奥様・ヨネに受けた恩返し、生涯かけても返せない程の恩がある。と言った。
 モトは春秋屋に帰って行った。

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