照降町自身番書役日誌5 雲雀野 完 今井絵美子
寒月 喜三次の国許から三年前に兄の息子が亡くなり、今兄が病床にあり急いで跡目を決めないといけないので兄嫁の兄の次男を養子にした。という手紙が届く。
玄武館の門弟 吉村廉次郎は太物問屋高田屋の次男、御家人株を買い、吉村家に養子に入った。柳井十内は小普請組三十俵の次男、下に四人の弟妹がいる。柳井が吉村に馬鹿にされたと果たし合いを申し込む。柳井家では女衒に妹を売り飛ばそうとした兄と十内の言い合いになり、気を高ぶらせた兄が刀を振り回し、妹を斬り、十内が兄を斬り、十内は切腹した。
お帰り、あんちゃん おきぬの兄・丑松が人足寄せ場に行って四年。丑松が帰ってくる。三日前に父親が亡くなる。丑松は雪駄作りを習い始める。丑松の所為でおきぬと別れた政太がおきぬの勤めるふじ半の近くに所帯を持って店を開いた。おきくは店を見ながら佇む。丑松が刃物を持って政太を睨むのを喜三次は止める。
絲遊 田口屋のおりくが次女を産んだ。姉になった玉緒は喜んでいるのか判らない。近くの豆腐屋で火事が起こり、夫婦と生まれて間がない次男が亡くなった。長男が次男が生まれ父母を取られた腹いせに火を付たという噂が流れる。
雲雀野 妾・お光宅に入った泥棒・綱吉を主・堺屋長次郎が殺す、という事件が起こった。お光が病気で亡くなり、下女が堺屋が刃物を用意しお光の義弟・綱吉を殺したのだと喜三次に話す。佐吉はお光を妾にするために、お光の母親に充分な金を渡し家を出るように仕向け、渡した金を借金とし、お光を妾にしたことを調べ出した。綱吉も義母の居所を掴み、長次郎を嚇したため殺された。長次郎は遠島になった。
喜三次39才の兄が三月前に亡くなったという手紙を貰う。十年ぶりに故郷に帰り墓参りをする。母の形見の水晶の数珠と家宝の硯と鼈甲の櫛をもらって一月で江戸に帰って来た。数珠と櫛をおゆき24才に渡す。
今は初鰹野季節 七夕が開けてから祝言を挙げることに決まった。
猫字屋のおよし24才と坂本町の紅屋の藤吉36才との縁談が整う。藤吉は四年前に産後の肥立ちが悪く妻と子を亡くしていた。来月祝言を挙げる。
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