初しぐれ 北原亜以子
初しぐれ おこう37才、三枡屋楠太郎45才・おこうの亭主の四十九日が終わった。おこうが17才の時、互いに惹かれ合っていた市之介と一緒になるはずが、姉が亡くなったために楠太郎といっしょにならざるをえなくなった。姉の息子・清太郎3才を育て、長女を17才で嫁に出し、次男15才の養子先も決まっている。十日後、おこうは市之介に会いに行った。知らないと言われた。迎えに来た清太郎に当たり前だと言われる。楠太郎が可哀想なことをしたと言っていたと教えられる。隠居して三枡屋から遠ざかろうと思う。
老梅 おたかは隠居して一人で暮らしている。若い男・半次が時々訪ねてくるようになる。おたかは許嫁を亡くし、結婚した相手は三年で亡くなった。養子に入った五代目に三十で隠居させられた。十二年経った。
海の音 文化五年、長崎奉行・松平図書頭康秀の時、阿蘭陀国旗を掲げた英吉利船が長崎に入り、人質をとり、食料の肉、水、薪、等を要求し帰って行った。奉行は切腹した。長崎会所の唐物目利見習いから一代年寄りになった忠兵衛、妹として育った楓。長崎のことを考えていた奉行が何故、死ななければいけなかったのか。
犬目の兵助 天保七年、甲州、犬目村兵助、下和田村武七がはじめた打ち壊しを兵助の懐手みている手鏡。三百人が一万人に膨れた。兵助は途中で帰った。
捨足軽 天保十四年、長崎警護の役目の佐賀藩には捨足軽がいた。火薬を入れた筒を體に巻き付け船に乗り込み自爆する。煙草屋のおちょうの婿になる予定の源太は戦闘態勢で出兵した。捨足軽は八十人もいた。煙草吸いの仲間の煙草に火を付けようとして爆発した。源太は二本の指をなくし、佐賀に帰った。おちょうはもうどこにもやらないと言う。
アーベル ライデル ふみ22才は家具職人・芳次郎48才の後妻だった。漫画家志望だったが家具職人になる予定の息子・洋一郎17才がいる。大卒の俳優のような顔の岩沢賢吾が弟子になった。ふみのいとこ・ゆう子13才が遊びに来る。ふみは洋一郎が好き、絶対に知られてはいけない思い。
入院中も江戸の町を歩いていた
0 件のコメント:
コメントを投稿