もんなか紋三捕物帳 井川香四郎
紋三 おかげ横丁に住む。大岡越前から朱房の十手を預かる。江戸市中に十八人の子分がいる。三十半ば。
光 紋三の妹 二十歳前後
伊藤洋三郎 ぶつくさ洋三郎 南町奉行所の本所方同心
鬼三郎 湯島天神下桶職人ばかりのうぐいす長屋の家主兼親方。四十過ぎ
桶師鬼三郎 鬼三郎に将軍小納戸役の旗本・黒沼弥之介から岡っ引き・紋三の殺しの依頼が来る。鬼三郎は殺すに値する者か調べる。
黒沼家の中間・蜂助が木場で刺され、浮いて見付かった。黒沼と蜂助は取り潰された大名の家来だった。蜂助の方が剣術も出来、頭も切れるが、黒沼は養子になり蜂助は中間だった。蜂助は奥方・多喜と関係を持ち、強請っていた。蜂助は多喜に殺されていた。蜂助殺しは永尋になってしまった。蜂助は黒沼の公金横領で強請っていたが、闇に葬られた。
鬼三郎は黒沼を棺桶に入れ、妻の蜂助殺しと公金横領をお詫びするという紙を貼られ、門前に置いた。調べが入り、多喜は死罪、黒沼は切腹、御家断絶になった。
冥土の客 大工の頭領・幸吉が納骨堂で首を吊って見付かった。自害とされた。娘は孫が生まれるし、仕事も次々とあるので自害では無いと言い張る。
紋三は寺社奉行大検使・板倉の前で、作事奉行支配大工頭下役「大工棟梁」の坂田小五郎に嫌疑をかけ問い詰める。証拠が無いという坂田に板倉は屋敷を検めた。蔵から寺社修繕の裏帳簿を見付ける。紋三はこの家が空き家であり全部仕込みだったことを暴露し板倉は捕らえられる。板倉が寺社仏閣の改築や修繕に手抜き普請を命じていたことを幸吉は知り辞めて欲しいと訴えた。板倉は寺社奉行の堀部日向守が命じたと言った。
堀部日向守が棺桶に入れられ見付かった。
時は鐘なり 横川の鐘つき堂の鐘楼で撞木で頭を突かれて玄悦が死んだ。玄悦は遠州屋の主殺しの疑いが掛かっていた。紋三は幼馴染みの医者・村上浩次郎と玄悦が長崎で知り合い遠州屋と抜け荷し、遠州屋殺しで玄悦が捕まり、玄悦が抜け荷のことをしゃべるのを怖れて浩次郎が殺したとみていた。針がねで玄悦を吊り、叩き方が変わる時間に挟まれるように仕掛けていた。
大岡の吟味の席に長崎奉行・脇坂も呼ばれ、遠州屋と玄悦殺しと抜け荷の取り調べが行なわれた。鬼三郎が集めた証拠を出してくれた。
亭主殺し 呉服問屋「京屋」の主人・喜久平と女房・小夜が墓参りの帰りに襲われ勾引かされた。後に小夜は逃げ出して助けられたが、喜久平は見付からない。喜久平が小夜を見初め嫁に入り、半年で先代主人が亡くなっていた。仙台堀に老女が死んでいた。喜久平の実母・紺だった。喜久平は三才の時、目付・五百石・八郷五郎衛門の息子だが、紺の身分が低いため京屋に養子に出されていた。八郷家は養子にした琢磨を十五年前喧嘩で殺されていた。不正を糾すため普請奉行を追いつめ、妻子を殺すと脅され、琢磨を殺された。妻や喜久平に累が及ぶのを怖れ、追求を止めた。自分も呉服屋や喜久平と不正に手を出すようになった。それを小夜と弟・峰次が強請るようになった。喜久平の勾引かしは自作自演、喜久平殺しで小夜と峰次が捕まると考えていた。喜久平が勾引かされた時、強請りを止めるお紺を峰次が川に突き落とした。
鬼三郎が棺桶に喜久平をいれ八郷家に運んだ時、中から現れた喜久平を父親がおまえが死ねば小夜達は処刑される。と言い殺そうとした。殺さなかった。八郷はあの時、お紺と喜久平を連れて家を出ればよかったかと想った。
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