2016年9月30日金曜日

入り婿侍商い帖(七)

入り婿侍商い帖(七) 出仕秘命1 千野隆司
 大黒屋の婿・角次郎の兄一家が文化四年(1807)八月十九日の永代橋崩落事故に巻き込まれ亡くなった。兄が死ぬ前に裏切り者が現れた、無念だ、と言い残したことと、兄が何者かに橋から突き落とされたことを知り、角次郎が五月女家に帰り後を継ぎ、殺された理由を突き止めようとする。
 兄の残した書き付けと、調べから、真岡の代官所と仙石屋助左衛門、勘定吟味役・畑山将監、勘定奉行・大久保忠信、田安家の誰かまで繋がって、不正をしていることが分かった。お召縮緬二千五百反の簿外品を江戸に運び込んだところを押さえた。不正品と認められ、織り元・三国屋、仙石屋、代官・御園生の関与が認められ、御園生は切腹、店は闕所、主人は遠島となった。
 兄が裏切り者と言った人物は見付からなかった。仙石屋以上の者の関与も証拠がなかった。

 

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