2016年9月8日木曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎32

風烈廻り与力・青柳剣一郎32 善の焔 小杉健治
 大伝馬町で付け火が続いた。牢屋敷の解き放ちが目的かと思い入牢中の関係者を調べる。
 付け火の狙いは小伝馬町一丁目に住む錺職人修次の所にいる、兄弟子だった麻吉だった。麻吉は中風で半身不随、言葉も思うように喋られない状態で修次のところにいた。
隣の為五郎が付け火を目撃し怪我をしたことで青柳剣一郎が修次と麻吉を知るところとなる。麻吉は倒れた時の記憶が無く、忘れているが、善行の人で知られている「小町屋」の主人・沢治郎が、孝太郎が自訴したこと、内儀が亭主殺しに加担したことはなしているのを聞いていた。思い出す前に麻吉を何とかしたかった。修次が麻吉に辛く当たり、あまり面倒を見ない。麻吉は這って水を飲み、便所へ行く。所帯を持つはずだった親方の娘・くみは自分のものだ。と麻吉を怒らす。麻吉は憎しみから死を考えなくなり、殺すことを考え動かす努力をする。修次の狙い通りだが、沢治郎は焦り、麻吉を小町屋の寮に迎え、火を付け殺そうとした。
 麻吉は助けられ、小町屋で聞いた、孝太郎のはなしを思い出す。修次の気持ちも分かった。修次のおかげでここまで治り動けるようになっていたことが分かった。修次の辛さも理解出来た。麻吉は仏門に入った。
 剣一郎が入牢者を調べた時、孝太郎の話と弟・孝助を聞いていた。疑問に思うことがあったので納得がいった。孝太郎に、孝助が、相馬屋を殺し十両を取ったように言った者がいたのだ。孝太郎は弟を守るために自分がやったと自訴していた。
 何も証拠が無い。剣一郎は沢治郎に、自分は何も知らない。麻吉のことも一太がやったことで自分は関係ないといえばそれで通るという。沢治郎の本当に善の部分を知っている。沢治郎の善と悪に問う。沢治郎は相馬屋の内儀との不倫を相馬屋に知られたことが原因だと自白した。
 

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