からくさ図書館来客簿〈第四集〉 仲町六絵
からくり山鉾 安祥儀を持たないと決めた時子を武者修行に出す。篁は過保護と言われるくらい心配する。茜は額田王だった。数万の兵を鼓舞して死地におくり出した事を悔いている。
鳥類学研究所の蜂須賀から祇園祭の鷹山鉾の復元計画を知る。紹介された文化財修復会社の社員・車折美保が図書館に、吉野太夫を連れて来る。美保の偽書は「欠けた半面」。修復師は、国宝や文化財の仏像を作られた当初の姿に戻さない。仏像がたいせつにされてきた長い時間も保存する。鷹山鉾は文化財ではない。灰屋紹益と吉野が考えた仕掛けが後世まで続くか心配で、現世を離れられなかった。鷹山のからくりの振り付けも仕組みも、知っているから職人さんに教えとうてと言う。鷹匠が腕を上げると、鷹が翼を広げる。犬遣いは両手を上げて、つながれていた犬が後ろ足で立ち上がる。後ろにいる樽負いがつまみ食いしょうと粽を口元に持って行く。お囃子衆の中にからくり手を隠す。冥府の工房で文書を作り、見付かった文書だと復元工房に送る。
猫と睡蓮 菓子職人・本庄雅也が、金魚屋のアルバイト店員・江藤沙央里と菓子・金魚琥珀を持って来る。冥府に持って行く。晴明は花押を書き入れる術式を作っていた。金魚屋の高橋宗介と宗介に付いている冥官と「伴鳥記」を書いている鳥部と晴明が食べるのだろう。
ゆみはら書房の社長が道なしになって図書館に来た。半年前、古書店主・弓原35才で自動車事故に巻き込まれ亡くなっていた。古書を売却する古書店の割り当て等を書いた遺言書を書き、篁に託す。時子が弓原に擦れ、現れた文字が「もねとしもがも」だった。弓原は冥府の小部屋で飼い猫のキジ虎猫が見付かるまで待つ事になった。キジ虎猫・モネは草木有情庁に探してもらう。
湖北に眠る 山吹・太田が道なしに憑かれた青年がいることを知らせに来る。篁と時子は下鴨神社の矢取神事に出る青年を見に行く。旅行社の青年・吉政25才には観音様の腕を抱いた少年が憑いていた。湖北の観音さん版図を企画している。時子は修行に山吹の所に行く。吉政を連れて湖北の観音めぐりをする。排仏毀釈の折り寺荒らしから集落を護るため観音様の腕を切った神社の息子・久志が現れる。久志は警戒して吉政に憑いていた。
排仏毀釈で切り落とされてしまったが守り継がれた右腕とする。和紙で装丁した朱印帳を作る。一年中いつでも拝観出来る。何年ぶり何十年振りでも歓迎する。久志は冥府へ行き、吉政の意識は途切れた。
何度でも、何十年ぶりでも、お帰りなさい。のキャッチコピー。記念品に散華を用意した。
古本市でキジ虎猫を連れた弓原が目撃された。篁と時子は弓原を見送る。
時子は蔵書が増えて閉架にする本の閉架目録に、一冊ごとに感想文か紹介文を付けることにした。
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