貸し物屋お庸4 娘店主、想いを秘める 平谷美樹
萱草の簪 浅草の芸妓・葛葉が萱草の簪を借りに来る。湊屋の本店の主人・清五郎に合う時に使うという。本店をあてにするなとも言われる。お庸は知人に作ってもらう。清五郎と葛葉の関係が気になるお庸は二人を付ける。お庸は自分が清五郎を好きなことに気付く。葛葉は簪を返す時、あたしはもう、清五郎さんに会うことはないよ。安心しなという。お庸は知らないが、葛葉は抱いてくれない清五郎より、西国屋の妾になることを選んだ。
六文銭の夜 真夜中にお庸の店の前に裸の男の子と十人の死に装束の大人の男女が現れた。お庸の弟・幸太郎の家では家神になる修業中のおりょうが、幸太郎に六十文を持ってお庸のところに行くように伝えていた。男の子が川の杭に引っかかっているのを見付ける。遺体を引き上げ番屋に連れていくと、岡っ引きはお庸と幸太郎が突き落としたのではないかと疑う。男の子と十人の亡魂が現れれ、同心の月代を叩いた。お庸が亡魂の知らせで亡き骸を見付けたということを信じた。次の日、着物の礼に来た父母に、父母がしっかりしている姿を見せれば子供も成仏出来ると思う、という。後ろを絣を着た長七が付いて行っていることは言わなかった。
秋時雨の矢立 湊屋の手代・松之助はお庸の店の助っ人だ。松之助の昔の仲間・蛇舅母(かなちよろ)の仁吉が、松之助の錠前破りの腕を見込んで誘いに来る。お庸を人質に取る。十年前、松之助の父親・丹波の秀蔵一味は江戸にやって来る途中品川で捕り方に囲まれ、逃げた。助けられた鵺の権兵衛一味に入った。秀蔵は見付からなかった。清五郎が現れ松之助を湊屋に引き取られた。話を付けた権兵衛は亡くなり二代目権兵衛になっていた。
清五郎と秀蔵にお庸と松之助は助け出され、奉行所から捕り方が駆け付ける。
十年前、現権兵衛・寅之介が秀蔵一味のことを奉行所に知らせた。権兵衛を上方に誘い、毒殺してした。
松之助に会わないで旅に出ようとする秀蔵にお庸は矢立を渡す。旅先から松之助に文を書けという。松之助を呼ぶ。二人はいい店主だと言い別れる。
人形 瑞雲はおりょうに言われて百八体の人形を探し出し供養していた。
初雪 美濃国大岡家の若様の付け女中にお庸が借り出された。十四才の小太郎と父親藩主の仲を取り持つ。また家来と若様の関係も修復する。庸は湊屋に帰る。下屋敷の家老・今田市右衛門が礼に来ている時に、陸奥国神坂家の橘喜左衛門がやってくる。何か力を借りたい時は相談するという。大岡家の相談は受けて、神坂家の相談は受けないということはあるまいという。お庸は喜左衛門の配下がお庸を探っていることを知らない。清五郎たちが牽制していることも知らない。松之助は清五郎に知らせに行く。
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