2018年8月14日火曜日

長屋道場騒動記〈一〉

長屋道場騒動記〈一〉 迷い熊帰る 芝村凉也
  神田の老舗菓子店「恵比壽屋」の裏の道場に旅姿の浪人が現れた。浪人は十年前に武者修行に出た一人息子・間野生馬と名乗る。髭面の熊のような大男だった。道場は焼け出された長屋の住民の住み家になっていた。
 昔、恵比壽屋は夜烏の喜平次一味に襲われた。生馬の父・源心が喜平次一味を捕らえた。恵比壽屋は道場を建て恵比壽屋を護ってもらった。源心は三年前に亡くなった。
 生馬も恵比壽屋を見張る普請な者の存在に気付き、留守になることを言いふらし盗賊を待っていた。夜中に起きた恵比壽屋の娘・君が現れ、盗賊が店に押込んでから捕らえるつもりが、まだ戸が開けられた時に出て行かなければならなくなった。二人を捕まえ、一人は仲間に殺された。重要人物は逃げた。押し入ったのは二代目喜平次一味だった。
 道場の住人の子供二人が勾引かされ、君と生馬が呼び出される。生馬は怪我を負うが子供を助け、君も無事帰った。頭目の喜平次、浪人二人は生馬が斬り、二,三人は捕まり夜烏一味はほぼ壊滅した。が、喜平次の右腕・喜平次を崇めていた銀次の行方が判らなかった。
 恵比壽屋・与惣兵衛は道場を再開し、恵比壽屋を護ることを願った。生馬は道場に住む人たちを追い出さないよう願い、受けた。

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