2018年8月5日日曜日

大江戸女医なぞとき譚 お悦さん 

大江戸女医なぞとき譚 お悦さん 和田はつ子
 妊婦と赤子を一流の医術で救う女医・悦。助産に限らず蔓延する流行病も治す。
 間違った腹帯の巻き方、麻疹に対する間違った考えを正そうとする。
 亡くなった父が医者だった佐伯賢作は、遠縁の典薬頭今大路親信に悦の清悦庵で働くよう紹介される。賢作は頭になるつもりでいた。
 蕎麦屋での突然の悦のお産を目にして、賢作は弟子入りを志願した。
 悦と今大路親信とは、昔、身分違いで結婚しなかった二人のようだ。
 サナダムシの駆除をする。
 同門の者・久里が殺され、賢作に嫌疑がかかる。殺したという同門の者・杉浦が切腹しかけた。悦は杉浦が刺す前に久里が死んでいたことを証明し、杉浦の命を救った。
 蜂蜜に含まれたトリカブトの毒を見抜き、酢で毒消しをする。
 仲が悪い海産物問屋中島屋の一人娘と向いの海産物問屋南海屋の惣領息子が恋仲で、近所のもう1軒の海産物問屋北斗屋の息子が仲良しを装って二人に阿芙蓉を飲ませて殺そうとしている陰謀を、賢作と悦は阻止する。中島屋の娘の所に南海屋の息子が養子に入り、次男が南海屋を継いだ。
 悦の患者で見せ物小屋に奇病を持った者がいた。相方・蝶が殺された。蝶は孤児を育てるため、強請をしていた。賢作は強請られていた人を廻る。蝶を殺した犯人・遊行好きなやぶ医者は毒を盛られて殺されていた。孤児たちの働き口を見付ける。
 悦が看ていた臨月の妊婦が産婆を替えて亡くなった。双子だった。悦と間違えてみ乃が勾引かされる。み乃と交換で悦が行く。大奥だった。双子の女児を出産後、出世を目論む付添人は殺し合いを始める。止めに入った悦も刺される。二人の女児と側室は祖母の元に行き、殺し合いを始めた医者は死んだ。将軍も承知で悦は部屋を与えられ三日三晩生死の境を彷徨った。親信と賢作が治療と看病をした。
 賢作は梅毒の患者を知る。梅毒の子への伝染を知る。
 梅毒持ちの坂本屋利兵衛が毒だ殺されそうになる。新しい定町回り・小沢輝助が、大番頭の多吉を捕まえる。輝助は利兵衛の息子だった。大店の娘だった希代に取り入り子供ができた。店を広げる為に借金をしたところで、利兵衛は蔵の宝を盗んで逃げた。両親は亡くなり、母子は復讐だけを糧にして生きてきた。利兵衛は未だ死んではいない。二人は爆発物を使う。母子は亡くなったが利兵衛は生きている。利兵衛は懺悔している。懺悔して命乞いをする。賢作に十七、八年前の医者の身重の新造を手込めにしたことを話した。賢作は父が母から死んでいる赤子をとり出したことを思い出した。母は自害した。父は大名の側室の堕胎を命じられ断ったために闇討ちされた。
 年の暮れ、利兵衛は死んだ。
 医者の兄から戻って来るように言われるが、賢作はみ乃にみ乃と一緒に生きて行きたいと思うと言う。正木敬斉医師よし娘婿にと言われたが断る。親信も将来、典薬頭を賢作に継いで貰おうと考えていることを悦に話す。

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