2018年8月30日木曜日

喜連川の風 明星の巻〔一〕

喜連川の風 明星の巻〔一〕 稲葉稔
 弘化二年 1845年
 天野一角43才は同心・小島久五郎の娘・雪乃31才と昨年再婚した。息子・清助15才は母と呼ばず拒否していた。
 江戸屋敷が火事になった。二年前に近習頭・町奉行から家老職に昇進した伊豆守が、天野一角に作事頭と江戸に行くように言う。一角は息子・清助を連れて行く許可を貰う。
 江戸で清助は、人を殺して逃げている助五郎に勾引かされる。助五郎は清助の刀が欲しかった。助五郎が相談した昔の仲間は一角の長屋に金銭を要求する投げ文を入れた。一角は、清助を助け出す。清助は捕まっている間母のことを考えた。
 留守居役・金崎忠蔵と添役・中原酉三郎に挨拶し普請の手伝いをする。中原は尊大で苦虫を噛みつぶしたような顔を清助に向けた。
 中原の懇意にしている職人が賂を使っていることが発覚。職人に過分の金を払い後で職人から戻させている。他家との会合と料理屋に行くが、相手がいないことがしばしばある。金崎は国許での吟味を口にするが、一角は4人しか知らないこと、ここで決着をつけようとする。優秀な子息の将来に影響する。金崎は心を入れ替え政務に励むこと、使った費えは月々藩費に足すこと、を言い渡した。
 清助は一角にお金を借りる。雪乃に簪のお土産を買った。家に帰りすぐ母上と呼びお土産を渡した。

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