2017年9月24日日曜日

着物始末暦 しのぶ梅

着物始末暦 しのぶ梅 中島要
 呉服太物問屋「大隅屋」の若旦那・綾太郎は極上の上田縞の団子のたれ染みをきれいに落としてもらい着物始末の余一と知り合った。五枚の高価な打ち掛けを余一に預ける。五枚を継ぎはぎにして花魁と禿のお揃いの打ち掛けになった。
 糸17は一膳飯屋「だるま屋」の看板娘。十才で母親を亡くした糸は裁縫が不得手。三年前、食事に来る余一を好きになった糸は頼み込んで余一に裁縫を習う。父・清八はどこの誰とも分からない余一と糸が付き合うことを許さない。
 余一は上方からきた悉皆職人に育てられ、仕事を教え込まれた。余一の父母が誰だか誰も知らない。
 染弥 芸しか出来ない。相ぼれになった男は八百屋の若旦那。自分は何も出来ないから愛想を尽かされると思い金持ちの妾になる決心をした。最後の逢瀬に松の柄のすそ模様の着物を着た。
 二十年前に火事で店も両親も失った理恵は、昔大隅屋で誂えた振り袖が欲しいという。大隅屋は同じ物を創るが理恵が納得しない。余一は糸に着物を着せ、理恵に見せる。理恵は納得した。余一は着物に年を取らせ理恵に渡す。
 古着屋の六助の所に、振り袖を着た夜鷹が来る。夜鷹が着ていた振り袖を持って浪人が来る。六助は夜鷹が一月以上姿を見せないので殺されたと思った。島田髷のあの夜鷹を見た。有り金と振り袖を取られ、身を投げようと思った時に助けてくれた大工と一緒になっていた。
 みつ 糸の幼馴染み。小さいが店売りの青物屋・八百久の娘。父親の後添えと上手くいかず、妾に出されそうなので、家を出、昔の知り合いの桐屋の玉17付きの女中として住み込むことになった。玉は綾太郎の許嫁だった。玉は振り袖を着ず、祖母のお古を着る。みつは糸から紹介された余一に相談する。着物に対する情を語られる。

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