ビブリア古書堂の事件手帖〈7〉 栞子さんと果てない舞台 完 三上延
ビブリア古書堂が久我山家から買い戻そうとしている初版本の「晩年」を持っている舞砂道具店の吉原喜市は八百万で売ると言う。母親・篠川智恵子と連絡を付けてくれたら四百万にするという条件で買った。栞子さんは何もしなかったが智恵子と連絡がついたらしく四百万で手に入った。
吉原喜市は栞子さんの祖父・聖司がビブリア古書堂を開くため久我山書房の番頭を辞めた後、番頭になり、久我山書房の店主・尚大が亡くなるまで続けていた人だった。智恵子の父親が尚大であることを栞子さんに話す。
智恵子の母、栞子と文香の祖母・水城英子の存在を知った頃、祖母の再婚相手・水城禄郎がビブリア古書堂を訪れる。英子は昔古本屋に騙され、智恵子を身ごもったため古本屋を嫌い、古本屋で働き始めた智恵子と縁を切った。英子は尚大に貰った古い本を大事にしていた。吉原はその本の借用書を持って英子のところに本の返還を求めに行った。英子は本を渡した。水城はその本の買い戻しを頼みにきた。栞子と大輔は水城家で英子と会う。時々店に来る人だった。栞子と英子は本の話で盛り上がる。その本はシェークスピアの1968年刊行のノートン・ファクシミリを複製した本だった。
五十年前のことで返還しなくても良い状況だったが、吉原に英子の義理の息子・水城隆司が同性愛者であることを匂わし脅迫じみた言動をしたため本を手放していた。栞子が伝言を伝え、上手くいっていなかった隆司と英子が話を始めたようだ。
英子の本が古書組合主催の交換会に出されているようだと連絡が入った。
古書会館の交換会でひとり書房の井上に協力してもらい吉原を出し抜き八万五千三十円で落札した。
久我山尚大はファースト・フォリオを持っていた。三冊のファクシミリを作った。黒の他に赤、青、白がある何れかが本物かもしれない。三冊ともページが糊ずけされていた。戸塚の古書会館の振り市に出品される。
当日、栞子は五千五十万で赤い本を落札した。栞子が用意したのは四千五百万、五百万を吉原の戦略で白い本につぎ込んでしまい、四千万しかなかった。大輔は自宅を売り、母親と分けた金額一千万と自分の貯金五十万を用意していた。
吉野は検査の結果三冊とも二十世紀の紙だったと発表した。栞子は吉原と智恵子と別室で赤い本の表紙を切り開く。本の中に本が入っていた。
大輔が栞子を母に会わせる日、大輔は栞子に結婚の申し込みをした。その前に智恵子から二人に何年か自分の仕事を手伝ってみないかという申し入れがあったことと、籍を入れるなら反対しないと告げられたことを栞子が言った。慌てて大輔はプロポーズしたのだった。
ファースト・フォリオは智恵子に一億五千万で売ることにした。文香の学費が出来た。母の下で勉強するのも仕事にはプラスになると考えている。
栞子は銀行の貸金庫から本を持ってきて、大輔に本の話を始めた。
番外編や、スピニオンが出るらしい。
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