2017年9月7日木曜日

帳尻屋仕置〈五〉 凶賊

帳尻屋仕置〈五〉 凶賊 坂岡真
 一寸の見切り 馬ノ鞍横丁の口入れ屋「蛙屋」の忠兵衛の息子・重太郎は生まれて四月になる。
 弘前藩津軽家の酒席で剣術指南役・葛巻弥助と徒目付・浪岡兵馬が口論になり、仲裁に入った徒目付・黒石源左衛門が葛巻に斬られた。葛巻は出奔し行方をくらました。源左衛門の息子・源八郎は四年間、葛巻を探し仇を討った。
 四年前、源左衛門は藩商人の抜荷を嗅ぎつけた。友の浪岡に相談した。商人と裏で通じていた浪岡は芝居をし、葛巻に源左衛門を斬らせた。四年後、葛巻は金策のため浪岡を強請った。浪岡は葛巻の居所を源八郎に知らせ、葛巻を消した。忠兵衛に事の次第を教えられた源八郎は帳尻屋の仲間に入り浪岡兵馬を倒す。黒岩源八郎は富田流小太刀を使う。
 凶賊 忠兵衛は北町奉行所内与力・長岡玄蕃に龍神一味の探索を命じられる。忠兵衛は芥集めをしている島帰りの捨吉と会う。捨吉は七年前、盗みをした弟の罪を被り女房・もんを弟・捨五郎に預け自首した。島から帰ると弟は龍神一味の頭になり、もんは情婦になっていた。忠兵衛は一味から逃げたもんを口中医・甚斎のところで匿う。八品商の元締めが捨五郎の父親だった。忠兵衛が探り出した龍神一味が次に襲う商家を長岡に知らせ、逃げる道を拵えた忠兵衛は、捨五郎が逃げてくるのを待ち、捨吉が殺した。
 穴太の頭 石工の親方・岩松と息子・岩次郎が仲違いし、岩次郎は大工になっている。災害で倒壊した富士見櫓の普請をしている。水野家の普請奉行をしている村野主税が不正をしていることに気がついた小俣佐七郎が殺され、佐七郎と親しかった岩松も殺される。作業員の口入れをしていた忠兵衛は岩次郎に聞き、普請の完逐を祝う催しが始まる頃、富士見櫓が崩れる細工をし、どさくさに紛れ、村野主税を殺した。
 八品商の元締め・喜楽屋四郎兵衛に手下になるよう誘われる。

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