2017年9月5日火曜日

本所見廻り同心控 ぶらり十兵衛

本所見廻り同心控 ぶらり十兵衛 稲葉稔
 深見十兵衛 手先・林町一丁目木戸番・忠吾
 与力・水野栄五郎 朋輩・酒井右京
 煎餅屋 町の厄介者・清次郎が殺された。煎餅屋の茂兵衛が息子・正太郎のお腹の大きな嫁に手を出されるのが怖くて殺していた。一日置いた次の日幸造に川に運んで貰った。茂兵衛は役人が来る前に煎餅屋を幸造に譲り、手伝いのみよと一緒になることも決めた。訪れた深見十兵衛は何もかも判った。喋ろうとする茂兵衛を止め、下手人は江戸を離れたことにした。
 毒饅頭 大工の棟梁の娘・通18才には好きな人がいた。薬種問屋大倉屋も手代・伊三朗だった。伊三朗には身請けしようと思っている女郎・静がいた。静の身請け金が五十両から百両になり諦めかけていた。伊三朗の朋輩・周次には手をきるように言われ、伊三朗が決心した。別れ話をしに行く。静の所にあった饅頭を食べ帰って伊三朗はその夜毒で死ぬ。
 通を好きな指物師の八十吉がいた。通は八十吉に頼んで静に饅頭を届けていた。通は伊三朗が饅頭を食べて死んだことを知った。通は番屋に呼ばれ静を殺そうとしたことを言われる。しかし、八十吉は静に頼まれた饅頭に毒が入っていると思い買い替えて持って行っていた。静が毒を仕込んだことが判った。十兵衛は通に骨身に応えたなら真っ直ぐ生きなと言う。
 永代橋 町芸者・八重は座敷に呼ばれた寿屋松之助が死んだ。酒井右京は八重を捕まえた。八重は火事で両親を失った小吉14才を引き取っていた。小吉は付き人をしていた。小吉はとよが松之助の部屋に入ったのを見た。帰ってこない八重を心配してひまし油を買い、とよの部屋に隠した。十兵衛は小吉に八重を助けたいからと他人に罪を着せるようなことをしてはいけないと諭し、二度としないと言う小吉に誰にも言わないと言う約束をさせる。松之助は心臓発作だった。八重は帰ってきた。
 法恩寺橋 大工の千吉20才は棟梁の倅と喧嘩して怪我をさせたことで棟梁に暇を出された。他の大工に触れを出し、雇って貰えない。病気の母もいた。千吉は男が飛び出してきた家から財布を盗んだ。千吉は飛び出してきた男・浅次郎を見た。興味を持ち付いて行き、浅次郎が男を殺すのを見てしまった。番屋に届けたいが自分が盗みをしたことも知られてしまう。悩んでいた。十兵衛は千吉が近くにいたことを知り問いかける。千吉は全てを話した。浅次郎の家まで行き、千吉が証人になる。浅次郎と女房・貞が捕まる。二人と殺された男も盗人だった。財布が盗まれたことは訴えもなかったから帰れと言われる。十兵衛は棟梁はお前に帰ってきて欲しいようだ。一度頭を下げれば戻れるぜ。と声かけした。真面目が一番だ。千吉は頭を下げた。
 椋鳥 十兵衛は馴染みの香取屋で毎日人待ちしている女に興味を持つ。女は松。出稼ぎ労働者・椋鳥・常吉と懇意になり、お金をためて一緒に田舎で店を持とう一月待ってくれと約束していた。松は騙されたと思いながらも待っていた。十兵衛は常吉を探す。常吉は未だいた。常吉は長五郎と泥棒しようとしていた。二人が狙っている質屋の縁側に上がり込んだ時捕まえた。長五郎は元泥棒だ。十兵衛は二人を許した。まつはずっと待ってるぜ。と言ってやる。三日後十兵衛は旅姿の常吉とまつを見た。
 妾騒動 十兵衛は庄吉の父親を探しにきたという作造という老人に会った。庄吉の母親・たみが亡くなり本所の伊勢屋という店の人ということだけが判っていた。父親は子どもが出来たたみを捨てたようだ。瀬戸物屋の仙次郎だと判った。仙次郎はやくざの一の子分・惣吉の女の妹・きよを孕ませ手切れ金を渡そうとしていた。きよはいずれ一緒になると言われた、信じていたのにという。仙次郎を殺そうとする惣吉を止める。十兵衛は仙次郎に女房とは別れられないが、きよの面倒は生涯みるとを約束させ惣助を納得させた。たみを好きだった料理屋の板前・勘助が子どもを預けて欲しいと言ってきた。女房も承知だと。庄吉は勘助に引き取られることになった。

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