壺中の回廊 松井今朝子
桜木治郎 大学講師 江戸の狂言作者、桜木治助の孫
木挽座で出し物の途中、五代目袖崎蘭五郎が毒殺された。蘭五郎の死は三日間伏せられた。亡くなったのは三月十四日、二十六日が帝都復興祭だったため葬儀は四月一日に行われた。殺害、毒殺等は伏せられた。
治郎は笹岡警部に頼まれ役者の聞き取り調査をする。
四十九日が終われば話すと言っていた先代蘭五郎の弟子・蘭香が四十九日に殺される。
無産党大衆新聞の記者・安倍が殺される。
犯人は、鵬財閥二代目・鵬輝一郎男爵の夫人・元女優・伊藤弥寿栄だった。治郎は鵬男爵に会いに行く。
弥寿栄は安倍に昔の関係に関することで強請られ、蘭五郎が裏切ったと考え蘭五郎を殺した。昇汞剤を蘭五郎が食べるどら焼きに入れて置いた。
男爵は、四十九日に男爵に会い事情を知らせようとした蘭香を始末するように出入する若い衆に頼んだ。脅迫するためにしつこく付きまとった安倍も同じ。
全てを話し終え、男爵は何もせず、全てを闇に葬って欲しいと言う。英国へ留学しないか。全ての費用は出す。無事にここを出られるかどうかの大切な取引だという。
治郎は伝法に毒づいて断る。男爵はブローニングを出し、先生が見届けてくださるものと信じています。と言い自殺した。男爵夫人も自殺していた。鵬家は養子が継ぐ。男爵の遺書に実子・輝久6才の目が見えない少年の後見人に桜木治郎を指定していた。最後の言葉の意味だった。治郎は少年を養子にする決心をする。
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