2018年1月2日火曜日

よろずのことに気をつけよ

よろずのことに気をつけよ 川瀬七緒
 中澤大輔35才 大学の非常勤講師、呪術、因習を専門にしている文化人類学者。
 砂倉真由18才 美術大学一年息子の嫁の連れ子だった。嫁は真由を置いて家を出、父親は真由に暴力を振るったていた。それを知り養子縁組みをして育ててくれたのは砂倉の祖父母。祖母は五年前に亡くなり、一ヶ月前に祖父は殺された。昨日床下で見付けたという呪術府を持ってきた。祖父の死との関係を知りたい。
 不離怨願 あたご様 五郎子   昭和二十年から三十年の手すきの和紙 和紙には人骨と髪がすき込まれている。墨は酒と血で磨ったもの人骨も混ざる。呪いの基礎をしっかり理解している。三つの血判が重ねてある。真由は祖父の死の事実を知りたいという。中澤は特殊な札が何なのか調べる。
 祖父・砂倉健一郎の殺されていた部屋に行く。殺された日、死体の向き、すべて陰陽道に背く、イザナギ流祈祷師の気配がする。警察に行く。警部補・森居浩孝、菊田
 健一郎の部屋から神の人形が出てきた。健一郎はのろわれていることを知っていたようだ。真由の名前が書かれた形代があった。健一郎は真由を巻き込みたくなかったようだ。何百枚もあったらしい。部屋からタンチョウ鶴の血液が混ざった粗塩が出ていた。舌を切断され、変わった刃物で心臓を突かれていた。
 七十六才の老婆が健一郎と同じ殺され方をした。彼女は元大臣の娘だった。
 イザナギ流祈祷師を訪ね、鶴の血液から山形へ行く。健一郎の隠されていたアルバムの写真から福島へ行く。写真を警察に届ける。
 不離怨願 あたご様
 登りてやしろを拝すれば、一間四面のお堂ある
 扇垂木に茅の屋根・・・・
 
 師走の月に雪なくば、よろずのことに気をつけよ
念仏と地図を照らし合わせながら地区を特定する。出会った青年が持っていた鉈は鷹鉈、健一郎の心臓を刺したのと同じ形状の鉈だった。なかなか電話が繋がらない状態で森居の留守番電話に「南郷村に形状の似た重大な物証」とだけ入れた。
 村人に捕まり閉じこめられる。念仏の場所、祈祷師たちの住んだ村だった。
 昭和二十六年、三人の子どもがいなくなった。春になって雪追橋の下でばらばらの身体が見付かった。遊び仲間四人が車で子どもをはねた。四人の中の娘が警察長官にどうしようと電話した。死体が見付からないように始末して帰って来いといわれて橋から三人を落としていた。捜査は中止させた。三人は脅されていた。帰った四人の内二人は失踪した。健一郎は娘の思い人だったために助けられた。条件は結婚して名字を変え目立たないように生きること。村人は何年もかかって宿泊施設を調べやっと見付けた。が住所を変え名前を変え探して探して、四十九年も経ってやっと見付けたのだった。呪いで殺せなかったため手を下した。
 真由を橋から落とそうとする。中澤を人質に真由を殺そうとする。村人の中にもう止めようという者がいた。真由を引っぱり上げる。森居刑事が来た。村人は逃亡した。
 大物政治家に手を出せない。五十九年前にひき逃げがあったかも分からない。
 元鳥類学者だがホームレスになっている健一郎の知り合い、野呂は刑事と一緒に駆け付け逃げた村人と一緒にいる。野呂は彼らの最後を見届けると言った。
 真由も彼らには逃げてもらうと言った。

 

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