御用船捕物帖〈四〉 黎明の剣 小杉健治
船宿「ひふみ屋」の船頭・多吉が川開きに乗せていた客の一人が殺された。多吉の屋根船に乗り移った浪人がいた。多吉は南町定町廻り同心・続木音之進と幼い頃からの水練大会の競争相手で、今は音之進の御用船の船頭をしている。不審な動きをする猪牙船と屋根船を追いかける。浪人は多吉の前に姿を現す。
多吉が探していた船頭が殺され、見ていた芸人船の芸人が殺された。一緒に乗っていた商人がもう一人殺される。七人組の仲間のうち事故で亡くなった商人と今回の二人が亡くなり、七人組みの商人が狙われているように思えた。
七人組の呉服問屋上州屋の主が妾の兄・剣術道場主・粕谷庫之助に白河屋と三桝屋を殺すように頼んでいた。白河屋と三桝屋が共同で産地直取引の呉服屋を上州屋の近所に出そうとしていた。浪人は門弟の死神の半九郎という殺し屋だった。
多吉には一目惚れの人がいた。七年前、音之進が続木家に養子に入いり、美鈴を紹介され一目惚れの人が美鈴だったと知った。多吉は誰にも言わず、でも美鈴を思い切れなかった。文が半九郎に連れ去られた時、多吉ははじめて自分の気持ちに気がついた。仲人は音之進夫婦がする。
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