南都あやかし帖 君よ知るやファールスの地 仲町六絵
天竺ムスル 応永二十一年 1414年 足利将軍四代目
奈良は大寺院興福寺が中心になって繁栄していた。
天竺ムスル20才 興福寺の塔頭・大乗院に庇護されている食客。父がペルシャから渡来し義満に仕えた天竺ヒジリと呼ばれた商人の息子。
葉月15才 立野の郷を治める武士・立野戌亥の末娘。立野の関の税の取り立てに失敗したため困窮しムスルに借金した。借金を減らすために仕え女として娘を差し出した。妾腹、母親とふたりくらしだった。
タラサという喋る鳥がいる。
ムスルの元に持ち主が病になるという太刀が来た。ムスルがきれいと憑いている者を妖術で眠らせておこうと考えていたが、葉月が興味で太刀を抜いてしまった。葉月は熱を出しす。太刀から女が現れる。女と話しをする。女は太刀の魂だという。うちの財物になって欲しいというムスルに戦い好きの者の物になりたい。戦いのために作った物だからという。葉月が細波幸近と名付け、畠山満家の三男の元服の祝いにすることになった。
天竺ムスルは楠葉天次と名前を変えた。仏門に入る時、西忍とし92才で大往生する。
立野氏の娘との間に五人の子をもうける。
墓所の法理 ムスルが庭で人の魂と生きたムカデが組み合わされたムカデを捕まえた。ムカデの言いたいことを聞く。一条院に仕える末端の者だから、僧から末阿弥と呼ばれていた。末阿弥は一条院の僧に立野に連れて行かれ殺された。ここで一条院の僧が死ねば僧の供養をするために墓所としてこの土地を召し上げると教えてくれた。殺された時ムカデが通り魂をくっつけた。僧をかみ殺したと言う。一乗院へ行き、院主もかみ殺してやるから解き放てと言う。立野の郷はどうなるのか葉月は心配する。
道阿弥が来た。立野で一乗院の僧の死体が四つも見付かり立野の全ての領地を要求している。龍田の関も含めて。
ムスルは立野の領地を守る代わりに関所をムスルのものにする計画をたてる。
葉月は明の衣装をきて、龍田大神になりすまし、「立野の穢れはすでに祓われた」と言い放つ。玉薬を投げる。玉は破裂し強い緑の光りと音を発する。視界が真っ赤になる。葉月は牛車に戻る。成功した。立野の関はムスル所有となる。
末阿弥はムスルによってムカデから離れ昇天していった。
海とシャルバート 京からムスルの昔馴染み・与次郎・婆沙羅者がやってきた。奉公人・芙蓉の肩から胸にかけて鱗に覆われて困っていた。船から落ちた童の話を聞き、芙蓉が可哀想に思って干し杏を船に投げてやった。童の魂が芙蓉にすがりついたのだろう。夜、葉月も手伝って現れた少年と話す。海が大好きな少年にムスルは指南魚を見せて指南魚に取りついて明へ行かないかと誘う。指南魚に宿り、航海の守り神になって欲しいと言う。行ってやっても良いと言う少年。亡魂は芙蓉から離れ、指南魚に宿った。
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