2018年1月22日月曜日

でんでら国 

でんでら国 平谷美樹
 幕末 陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国・外舘藩西根通大平村には、六十才になると御山参りに行く習わしがあった。近隣の村では姥捨ての村と言われ疎遠になっていた。代官所は飢饉になってもきちんと年貢を納める大平村に隠田があるのではないかと疑り、別段廻役・船越平太郎を隠田探しに送り込んだ。
 大平村のでんでら野の奥に隠田があり、薬草を育て馬を育てていた。砂金が取れた。年寄だけが住んでいる村・でんでら国を作っていた。「守ってやるから米を出せ」と言われた昔々に作られた。六十になれば山に行くという認可状もあった。
 平太郎は、代掻きによって濁る川を伝って隠田を探した。山奥に入り崖から落ち足を骨折し助けられでんでら国に運ばれ養生した。でんでら国では年寄が助け合って個々暮らしていた。平太郎には認知症が始まった父親がいた。
 代官・田代が足軽五十人、狼獲り三人、横目数名で、でんでら野に陣を張り隠田と平太郎探しを始めた。でんでら国の善兵衛たちは田代を捕まえ、田代と平太郎を連れ亡者の野辺送りと称し、外舘宗満公の約定書を前に出し、城へ乗り込む。藩主・外舘師直と会う。南部藩にふっかけられ払わなくてはならない五千両を肩代わりし、これからもいろいろ役に立つからこのまま放って置くことで話しを付ける。五千両は奥州金・金の含有量が多い贋金で払われた。平太郎は密偵・三造と弥五郎に善兵衛たちに見付からないように後を付けさせた。
 五千両は南部藩から幕府に渡され、でんでら国に金山があるとされ天領にするという達しがきた。でんでら国の老人を追い出すつもりで大平村に行くと、村人もでんでら国の老人も秋に税を納めたあと和尚を残してみんないなくなっていた。
 でんでら国に新しい住民が住み着いた。
 平太郎の父親が自分の認知症を自覚した。平太郎は三造と弥五郎に手伝ってもらい善兵衛たちの新しいでんでら国に父親を連れて行った。平太郎は切腹という形で覚悟を確かめられた。善兵衛は預かると言ってくれた。父親は迎えにきた老人と一緒に行く。
 平太郎は自分も六十になれば受け入れてもらえるかと言うが断られる。自分で作れと。

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